2021.09.28
Bリーグが6シーズン目を迎える。オフには数多くのスター選手が移籍。またクラブが外国籍選手に求めるクオリティ等にも変化があり、今シーズンはこれまで以上の面白い、混沌とした争いが繰り広げられそうだ。
注目はやはり最上位のB1だ。2021−22シーズンは昇格の2クラブを加えて全22チームが、昨シーズンに引き続き東西の2地区に分かれ、約7カ月のレギュラーシーズンと、上位チームがその後のポストシーズンを戦う。
どのチームがより高い勝率を残すのか、台頭してくるか――予想を立てるのは例年以上に難しい。今夏、オールスター、日本代表級の選手やすでに日本で実績を残してきた外国籍選手たちの多くが、新天地へ活躍の場を移したからだ。しかもその移籍先の中には、従来の強豪と呼ばれるチームだけでなく、これまでまだ実績の乏しいクラブとの契約も目立った。
こうした実力者たちの動きにより、リーグ全体の戦力の分散傾向がより顕著になってきている。シューターの辻直人や昨シーズンのB1得点王、ニック・メイヨらを獲得した広島ドラゴンフライズや、同じく昨シーズンのMVP金丸晃輔、元日本代表の安藤誓哉と契約の島根スサノオマジックの大がかりな補強には、とりわけ驚かされた。
特筆すべきは上記の広島、島根を含めた西地区の球団が上位進出を狙って本腰を入れたことだ。琉球ゴールデンキングスも渡邉飛勇(開幕前に全治4〜5カ月の負傷を負ってしまったが)やコー・フリッピンと契約し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズなどもロスターを充実させている。
それは、従来ならば収益や成績をコツコツと上げようとするところを、一気に投資という形で選手にお金を投下したことにほかならない。選手側もBリーグという完全プロリーグが年数を重ねるにつれて、自身をより高く買ってくれるところへ移る、あるいは自身のキャリアを考えたときにどこへ行くのがベストな道か見据える、といった「プロの選択」を取るようになってきた証左とも言える(反対にクラブ側も以前よりもよりシビアに選手をカットするようになってきた)。
例えば、昨シーズンは帰化のニック・ファジーカスを含めた外国生まれの選手4人がすべてインサイドの選手だった川崎ブレイブサンダースは今夏、シューティングガードでボールハンドリングもできるマット・ジャニングを獲っているが、こうした動きは急加速度的に増えている。またPFなどポジション的にはインサイドでも、外に出て3ポイントを打てる選手が重宝されているという点も顕著になりつつある。
さらに言えば、アジア枠を使ってこうしたアウトサイドのポジションを任せるという戦略に出るチームも今シーズンは増えた。導入初年度の昨シーズン、この制度を使ってプレイした選手は2名にとどまったが、今シーズンはB1だけで8名へと大幅に増加。宇都宮ブレックスのブランドン・ジャワトや富山グラウジーズ加入のドワイト・ラモスといったサイズのある選手たちがウィングのポジションを任される場面も多く目にすることになりそうだ。
こうした選手の移籍市場の活発化やゲームの質の変化を受けて、どのようなシーズンが展開されるかは興味深く、かつチャンピオンシップ進出と優勝を占うポイントになるのではないか。
Bリーグが始まって以来、ファイナルのカードがいずれも東地区のチーム同士の対戦であることでも示される通り、全体のクラブの実力は「東高西低」と言われてきた。恐らく今シーズンも東、とりわけ千葉ジェッツ、宇都宮、川崎、アルバルク東京といった東京およびその近郊のチームが強いであろうことに変わりはないだろうが、西の球団の奮起で同地区内での争いはより拮抗するだろうし、B1全体の均衡がこれまでよりも取れた、面白いシーズンとなりそうだ。
とは言え、優勝候補というところでは層が厚く豊富な経験もあり、コーチ陣や球団のマネジメントも優勝へ向けてのベクトルが同一方向に向いている千葉、宇都宮、川崎、A東京が変わらず筆頭候補となると予想する。
このグループに割って入る可能性があるとすれば、ロスターにタレントをそろえ、かつ先述のどおりこのリーグに合った万能な外国籍、アジア枠選手を有する琉球、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、シーホース三河か。彼らの躍進も見ものだ。
ディフェンス力の高い秋田ノーザンハピネッツや信州ブレイブウォリアーズなどは飛び抜けたスターはいないものの、強豪とも伍して戦う力量はあり周囲を驚かせる躍進を遂げるかもしれない。
文=永塚和志
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