2022.09.26
今春に大学を卒業し、Bリーグへ活躍の場を移した選手に大学時代を振り返ってもらうインタビュー企画、『新卒ルーキーが語る大学時代とこれからの未来』。
第3回は現在群馬クレインサンダーズでプレーする八村阿蓮。強豪・東海大学で1年次から先発の座を確保し、大学バスケ界を席巻した八村に4年間を振り返ってもらった。
インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年4月5日
――まずは東海大学へ進学を決めた理由を教えてください。
八村 東海大学にはしっかりとした施設と環境がそろっていましたし、ウェイトトレーニングをしっかりするチームなので、そういうチームに入りたいと思って決めました。
――八村選手は1年次のリーグ戦から出場機会をつかみましたが、プレータイムを得られた要因は?
八村 1年生の最初の頃はケガをしていたのでずっとリハビリをしていて、そこでしっかりと体を作ったことがパフォーマンス向上につながりました。当時4年生にビッグマンがいましたが、僕は外のシュートを打てたので4番(パワーフォワード)を任せてもらえたんだと思います。
――高校バスケと大学バスケの違いをどこに感じましたか?
八村 一番はフィジカルですね。体の使い方が全然違いますし、ディフェンスの強度も全く違いましたから。僕は4番だったのでほとんど守ることはなかったのですが、留学生はすごく重くて強かったので、フィジカル的に厳しいところはありました。
――1年次はリーグ戦とインカレで優勝。八村選手は主力として大きく貢献しましたが、初年度で優勝できたのは大きな経験だったのではないでしょうか。
八村 そうですね。でも、(東海大学の)選手層を考えたら優勝するべきだったのかなと思っています。
――当時はどんな意識を持ってコートに立っていましたか?
八村 先発で出してもらっていたので責任を感じていました。僕が出る代わりに出られない4年生もいたので、僕がしっかりやらないと申し訳ないという気持ちと責任感を持っていました。
――1、2年次はコンスタントに試合へ出場するも、3年次に新型コロナウイルスが感染拡大。具体的にどんな影響がありましたか?
八村 3年生の始めに最初の緊急事態宣言が発令されましたが、その時は体育館も使えないし学校にも入れない状況でした。外にもあまり行けない状況だったので家でトレーニングするしかなく、バスケから離れてしまったので辛かったです。
――新型コロナの影響による大会中止があったもののインカレは無事に開催され、東海大学は優勝を果たしました。
八村 全くバスケができていなかったのでそのぶんのロスはあったのですが、当時キャプテンを務めていた津屋一球さん(三遠ネオフェニックス)が『言い訳せずに頑張り続けよう』と声をかけてくれて。彼が鼓舞し続けてくれたことが優勝という結果につながったと思います。
――津屋選手の影響力やキャプテンシーはかなり強かった?
八村 そうですね。チームのことを第一に考えて、コーチと選手をつなげてくれました。僕らの意見もちゃんと伝えてくれていたので、良いキャプテンだったと思います。
――3年次には特別指定選手としてサンロッカーズ渋谷でプレーしました。
八村 Bリーグの外国籍選手は自分より大きくてフィジカルが強い選手ばかりだったので、何が必要かというのを考えさせられました。今後Bリーグでプレーするうえでは賢くスマートにプレーすることが必要だと思ったので、大学に帰ってからもそういう心がけでプレーしていました。
――東海大では濃密な4年間を過ごされたと思いますが、4年間で成長できたことは?
八村 フィジカルの部分ですね。高校の時より体重が増えましたが、そのぶん動けるようにもなりました。大学で積んだトレーニングが正しかったんだと思います。
――大学で印象に残っている対戦相手は?
八村 誰か一人を挙げるのは難しいです。というのも相手がどうこうというより、自分自身がきちんとプレーすればチームとしてうまくいくし、相手を上回れると思っていたので。相手というより自分の問題でした。
――練習で「これはキツかった」という思い出はありますか?
八村 夏の山形合宿ですね。朝6時から400メートル走をしたり、午前午後と練習をしたりしてキツかったです。1カ月後に始まるリーグ戦に向けての合宿なのですぐに効果を感じることはなかったのですが、合宿があったからこそリーグ戦でいい結果を出せたのかなと。
――昨年12月に群馬クレインサンダーズと契約を締結。群馬を選んだ理由を教えてください。
八村 僕としてはこれまでやってきた4、5番から3番へコンバートしたいという思いがあり、群馬もB2からB1に昇格して新しくチャレンジするチームだったので。そういうチームで新たな挑戦を始めたいと思って選びました。
――プロとしての今後の目標や目指す選手像を教えてください。
八村 3番ポジションで相手の外国籍選手を守れて、相手が自分より小さければポストアップでゴール下で得点を狙う。そんな選手になりたいです。また、近い目標ではないですが、将来的に日本代表でプレーしたいとも思っています。
――八村選手のような大柄な選手が3番でプレーするとなると、相手にとって脅威になりそうですね。
八村 そうですね。相手がビッグラインナップだったり外国籍の選手だったとしてもフィジカルで負けない自信があるので、積極的に勝負していきたいと思っています。
――最後に、大学入学直後のご自身にアドバイスを送るとしたらどんな言葉をかけますか?
八村 3番ではスクリーンを使うことが増えてくるので、ハンドリング練習をしておけば良かったかなと。一応していたんですが、もっとしておけば良かったと思っています。
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