2024.05.21

スペイン人HCのもとで大きく成長…滋賀レイクスの湧川颯斗がルーキーイヤーを“完走”

2023-24シーズンの全試合に出場した20歳の湧川 [写真]=B.LEAGUE
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「日本生命 B.LEAGUE B2 PLAYOFFS 2023-24」は滋賀レイクスの優勝で幕を閉じた。

 その滋賀でレギュラーシーズン60試合、プレーオフ7試合の全67試合に出場した選手がいる。5月2日に20歳の誕生日を迎えた湧川颯斗だ。

 湧川は福岡大学附属大濠高校在学時の2023年1月に特別指定選手としてBリーグデビューを飾ると、2023-24シーズンは“高卒プロ”としてプレー。レギュラーシーズンは1試合平均20分15秒のプレータイムを獲得し、同7.2得点3.2リバウンド2.9アシスト1.0スティールの成績を残した。

 本拠地の滋賀ダイハツアリーナで越谷アルファーズと対戦したファイナルではLJ・ピークともマッチアップし、18日の初戦は同点で迎えた第4クォーター残り45秒にシュートをブロック。拮抗した展開となった翌日の第2戦でもクロージングラインナップを任されるなど、2試合を通じて54分28秒の出場で14得点6リバウンド4アシスト3ブロック1スティールの活躍を見せた。

「キーファー(ラベナ)が足をつっていたので、そうなれば颯斗でした。試合中のプレーを見ても、そのモーメントでボールを持つに値する選手だと思っていました。ブロック(モータム)のオフボールスクリーンがいい選択肢という判断もあったので、颯斗のアタックがその状況において一番の武器でした。そこでリーダーシップを持ってプレーしてくれた颯斗には感謝です」

 ダビー・ゴメスヘッドコーチは第2戦の第4クォーター終盤を20歳のポイントガードに託した点に言及。湧川は「自分が勝負をつけようというくらいの気持ちでコートに入りました」と明かし、「(終盤に)ポイントガードのポジションをやらせてもらえるところまできて、シーズン序盤に比べてだいぶ成長できたと感じています」と手応えを口にした。

試合を経験することで自身の成長を実感 [写真]=B.LEAGUE

 35歳のスペイン人指揮官は「彼は僕と過ごした今シーズンを忘れないはずです」と話し始め、入団後から現在に至るまでの成長について語った。

「ルーキーがこれだけ長くボールを持つチームは日本にないのかなと。とてもタレント性があるにも関わらず、すごく練習します。練習後1時間とか。昨シーズンはアシスタントコーチとして彼にワークアウトしていましたし、コーチとして彼の成長を助けられたと感じています。だからこそ“ベストバージョンの颯斗”を見ることができました。彼はパスの仕方、見え方のレベルが非常に高いです。能力があり、手も長い。彼については、最初の1カ月はパスの練習しかしませんでした。それが結果に表れていると思います」

 湧川は指揮官から「両手で(パスを)出すな。片手で出したほうが自分のウイングスパンを活かせる。ディフェンスも取りにくいから」と言われていたようで、「ピックのあとのパス、オフボールでやっている時のパスなどを練習でやってもらっていました。それを試合で無意識に出せるようになったのは積み重ねの成果かなと思います」と、約1シーズン半の取り組みが身を結んだ。

 入団したシーズンにB2降格、そしてルーキーイヤーにB2優勝とB1昇格。「自分にとっていい経験になりました。初めて1シーズンを過ごし、体の作り方やオフの過ごし方などを学べたので、すごく濃い1シーズンになりました」。ともに会見に臨んだ川真田紘也はコート内外における後輩の成長を認めた。

「(試合後の)インタビューはちょっと面白かったですね。『レイアップを外して』とか。こんな冗談を言えるようになったんやって。プレー面では60試合とプレーオフの全試合に出たのは、それだけ期待されているということ。まだ20歳なので学ぶべきことは多くありますし、『あー』と思うプレーもあります。18歳の時に特別指定で加入してからここまで、本当にすごいスピードで成長しています。まだまだ成長の余地ありだと思っているので、どんどん頑張ってほしいですし、インタビューでももっともっと面白いことを言ってほしいなと思います」

川真田の言葉に笑みを浮かべる湧川 [写真]=B.LEAGUE

 会見を終えると、日本代表の第1次強化合宿に向かう湧川の姿があった。飽くなき向上心を持つ194センチのポイントガードは休む間もなく、再びコートへ立つ。

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