2020.05.08
新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの人が思いどおりに生活を送れない日々を送っている。
中高生にとっては入学や進級などで環境が大きく変わる時期と重なっただけに新たな生活に大きな期待を抱く一方で、同じくらいの不安を抱いただろう。
そこでバスケットボールキングでは、BリーグやWリーグの選手たちに、高校時代を振り返ってもらうインタビュー特集をスタートした。
トップリーグで活躍する選手たちの高校時代の話を、今後の学生生活の参考にしてほしい。
第4回は、横浜ビー・コルセアーズのキャプテン田渡凌が登場。バスケット一家に生まれた田渡は、指導者である父からどんなことを学んだのか。前編・後編にわたってお届けする。
インタビュー・文=入江美紀雄、岡本亮
写真=B.LEAGUE
――弥生第二ミニでバスケを始めたそうですが、どのようなプレースタイルでしたか?
田渡 わがままにガンガン攻めていました。
――ミニバスは何年生から始めましたか?
田渡 はっきりと覚えていませんが、小学3年生くらいだったと思います。いや、3歳?(笑)。それぐらいバスケは身近なものでした。
――弥生第二ミニはどのくらい強かったのですか?
田渡 一番上の兄の時に東京都で初めて優勝したのかな。それから東京ではすごく強かったですね。
――その後京北中学校(現東洋大学京北中学校)に進学しますが、お兄さんが2人とも進学していたから当たり前、というような感じでしたか?
田渡 そうですね。兄の試合も観に行っていましたし、二ノ宮さん(二ノ宮 康平/茨城ロボッツ)に憧れていましたから。京北中は僕が小さい頃に全国優勝をしていたので、関東で上手い人たちが集まっていて、自然と京北中に行くのが夢になっていました。
――京北中で思い出に残っている試合は?
田渡 それはやっぱり中学3年生の新潟全中の決勝で富樫(勇樹/千葉ジェッツ)に負けたことですね。
――お互いに点を取り合う試合でしたが、どんなところが印象に残っていますか?
田渡 僕は前半で28点取ったんですが、後半は11点しか取れませんでした。でも、富樫は淡々と点を取り続けて、大事な時間帯にやられてしまいました。僕はといえばその時ガス欠になってしまっていて。それはすごく覚えていますね。「こいつはなんてすごいやつなんだ!俺よりすごいな!」って思いました。
――全中が終わると引退となりますが、京北高校進学まではどのように過ごしていましたか?
田渡 不思議なことに京北中には引退というものがなくて(笑)。全中が終わった一週間後には京北高校の練習に参加していました。
――中学と高校では、当たりの強さや体つきなどフィジカル面で差があると思います。高校の練習ではどんな部分で苦労しましたか?
田渡 京北中と京北高には明確な違いがあって、高校では水分補給できる回数が少なくなるんですよ。中学ではいくらでも水分補給していいのですが、高校では1~2回。でも、走る量自体は中学のほうが多かったから、水分補給さえあれば高校でも練習についていけると思っていましたが、重要な水分補給が少ないからしんどかったですね。「喉が渇いて動けない」みたいな。あの時の水の美味しさは一生忘れません(笑)。
ほかにも苦労したことがあって、中3の時に長野カップ(全国の強豪校が一堂に会する大会)で福岡第一高校と試合をした時に衝撃を受けました。「ヤバい、この人たち上手い」って。当時は玉井(勇樹)さんや園(幸樹)さんがいたかな。
――木屋瀬中(福岡県)を全中優勝に導いた2人ですね。
田渡 そうです。「このままじゃ高校でやっていけない」と思うほど衝撃的でした。
――高校トップレベルの選手とマッチアップして刺激を受けた、と。
田渡 そうですね。どうやってこんな人たちと戦ったらいいんだろう、って。中学ではヘルプディフェンスをあまりしないけど、高校では留学生もいて、ヘルプもすごいし、衝撃的でした。
――高校バスケの強豪といえば能代工業も挙げられると思いますが、当時どんな印象を持っていましたか?
田渡 僕が高校生の時はあまり強くなかった印象です。でも、1年生のウィンターカップで対戦した時は、応援やユニフォームを見て思わず身震いしたのを覚えています。
――間近で見ると「能代だ」という感じがしましたか?
田渡 しましたね。昔から高校バスケの試合をよく観ていましたし、能代工業といえば、強豪で有名な選手をたくさん輩出する高校です。僕が対戦した時は有名な選手がいたわけではないから、名前負けするとは思っていませんでしたが、能代特有の雰囲気は感じました。ユニフォームの着こなし方や、アップや応援、整列。「これが能代か」って。カッコよかったな~。
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