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福岡第一高校(福岡県)の2年生ガード・崎濱秀斗は、「1年生から試合に出させてもらっている立場なので、この1年で学んだことを生かして先輩たちを笑顔で終わらせたい」という思いを胸に、東京体育館に乗り込んできた。しかし、今回の「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は決勝戦で開志国際高校(新潟県)に敗戦。準優勝に終わり、チームは笑顔ではなく涙で大会を終えた。
「自分がコートに出たときは何か違うアクションを起こさないといけないと思ってます。リングにアタックすることと、周りの選手をどれだけ快適にプレーさせてあげられるかが自分の役割なので、そこはシックスマンで起用されてからずっと意識してきました」
春先は先発起用されることが多かった崎濱だが、インターハイあたりから主に轟琉維、城戸賢心(ともに3年)のバックアップに回ってチームを支えてきた。だが、いざコートに立てば持ち前のスピードとダイナミックなプレーで攻撃を活性化。滞空時間の長いジャンプショットを武器にスコアを伸ばすだけでなく、この1年で磨きをかけたディフェンスでも流れを変えてきた。
今回のウインターカップでもその実力を見せつけた2年生ガードは、準々決勝の帝京長岡高校(新潟県)の試合で17得点5アシスト5スティール、中部大学第一高校(愛知県)との準決勝では23得点をマーク。この2試合、エースの轟がファウルトラブルに陥ったが、崎濱は自らの活躍でチームのピンチを帳消しにした。
それでも、決勝の舞台では5本のアシストを記録したものの、得点が5得点と振るわなかった。「準々決勝と準決勝は自分の仕事を果たせたと思うんですけど、決勝の舞台でできなかったので自分の弱さが出たと思います」。肩を落とした崎濱は続ける。「試合前は絶対にやってやろうという気持ちがあったんですけど、コートに立つと消極的になってしまったり、1本のシュートに力が入りすぎたりしてしまいました。そこが自分の弱さなので、しっかり直していかないといけないです」
今年の夏は、自らの逆転3ポイントシュートでインターハイ優勝を成し遂げた。けれど、冬の祭典では昨年に続いてまたしても優勝に届かず。自身2度目のウインターカップを終え、「第一は絶対にどこのチームよりも練習している自信があるんですけど、 それでも勝てなかったということはどこかに原因があると思います。全国の壁や大きさを改めて考えさせられました」と、崎濱は冬の全国優勝の難しさを再確認した。
「本当に3年生と笑顔で終わりたかったので……」。2年生の崎濱にとっても、先輩たちと同じくらい今大会に懸ける想いは強かった。敗戦後はまだ気持ちの整理がついていない様子だったが、来年へ向けては「プレッシャーはありますけど、琉維さんみたいにしっかりプレーでチームを引っ張っていきたいです」と崎濱。先輩の轟から崎濱へは、こんなエールを送られた。
「来年は秀斗が中心。秀斗が崩れたらチームも崩れてしまうと思うので、秀斗がしっかりブレずにやり続けて、周りのチームメートも切磋琢磨してレベルアップしていけば負けることないと思います。来年はこの経験を生かして絶対優勝してほしいです」
ウインターカップ3位に終わった昨年は佐藤涼成(現・白鷗大学1年)から轟へ想いが継承されたように、今年も福岡第一を背負うポイントガードの想いは引き継がれた。井出口孝コーチも言う。「1月1日からは彼のチームになる」。2023年の福岡第一は、崎濱秀斗を中心にまた新たなスタートを切る。
取材・文=小沼克年