2021.06.11

【プロ野球 × Bリーグ対談 特別編】現役の五十嵐圭だから言える、代表選手に伝えたいこと

プロ野球OBのG.G.佐藤氏と今回特別に現役Bリーガーの五十嵐圭選手が国際大会の魅力を語り合った
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バスケットボール日本代表は男女ともに6月から東京オリンピックへ向けた国際強化試合を行う。女子は10日から、『三井不動産カップ2021』にてポルトガル代表と、男子は23日よりイラン代表と対戦する。今回はプロ野球界・バスケットボール界で日本代表として国際大会に出場経験のあるG.G.佐藤さん、五十嵐圭選手(新潟アルビレックスBB)の対談インタビューを実施。代表戦を戦う意義、国際大会の魅力を語ってもらった。

(聞き手=本田将一郎 構成=吉川哲彦)

国際大会には魔物が棲んでいる!?

2006年の世界選手権の際、五十嵐は「バスケを多くの人に知ってもらえるいい機会」と捉えていたという [写真]=Getty Images


――6月からバスケの日本代表の国際強化試合が行われますが、まずG.G.佐藤さん、国内リーグと国際大会の空気の違いについてお伺いしたいんですが、いかがですか?

G.G. 日本代表に選ばれたのが2008年の北京五輪のときが初めてでイメージがつかなかったんですが、普段のシーズンからレギュラーを獲るために一生懸命やっていましたので、大丈夫かなと思っていたんです。でも、韓国やキューバ、アメリカと向かい合ったときに、経験したことがない緊張感が間違いなくありましたね。言い訳になってしまいますが、僕ら野球選手は長期のリーグ戦を戦っていて、短期決戦に慣れていない部分がありますから、プロとして情けないんですが逆にアマチュア選手が出たほうが良かったのかなと思います。

――国際試合について、五十嵐選手はいかがですか?
五十嵐 自分が日本代表でプレーしていた時期はBリーグがまだなくて、海外のチームと試合をする機会も少なかったので、アウェーの雰囲気や対戦相手の特徴など、把握できていない部分がたくさんありました。そういったところから慣れていくのが大変だったことを覚えています。2006年の世界選手権は日本での開催で、それまでとは違った緊張感もありました。

――日の丸を背負って戦う重みは現地で感じられましたか?
G.G. 準決勝で韓国に負けたときに、韓国の選手がウイニングボールを捕ってうずくまったんですよ。めちゃめちゃ喜んでいたんです。僕たちがそうなったら、たぶん同じ行動はしなかったと思うんです。韓国は僕たち以上の想いで向かってきていたんだなと、その瞬間にすごく感じました。
――五十嵐選手もやはり日の丸を背負う重圧はありましたか?
五十嵐 日の丸の重みも感じてはいましたが、プロ野球に比べるとバスケットボールは国内での認知度が低い状況で、世界と戦えるレベルにも達していなかったですし、失うものがなかったと言えます。逆に、これから世界基準になっていかないといけないという使命感のほうが強かったです。挑戦者としての思い切りの良さというのは、当時の選手はみんなあったと思います。

――五十嵐選手は30代の頃に「もう一度日の丸をつけたい」とお話しされていたこともありますが、国際試合の何がそういう気持ちを駆り立てるんでしょうか?
五十嵐
 現役である以上、目標とすべきは日本代表だと思います。年齢的なこともあるのでその舞台に戻るのは簡単ではないですが、コートに立てば年齢は関係ないと思っていますし、来シーズンはBリーグで最年長になるので、それでも若い選手に負けたくないと思っています。高い目標を立てることでまだ成長していけるという思いは持っています。

――日本代表の役割は何だと思いますか?
五十嵐
 代表戦になるとメディアの方たちに注目してもらえるというのは大きなことだと感じていました。今はスポーツニュースなどでバスケットを取り上げてもらう機会が増えたと思いますが、当時はあまり取り上げてもらえなかったんです。2006年の世界選手権を大きく取り上げてもらったことは日本バスケット界にとってすごく大きなことで、そこから少しずつ日本のバスケットを知ってもらい、応援してもらえるようになりました。特に代表に選ばれている選手はもっと広めていきたいと思って活動することだと思います。

G.G. バスケットも世界で勝ててこそビッグスポーツになっていくと思うので、世界で勝っていくための課題もお訊きしたいですね。

五十嵐 世界選手権が日本で開催されることが決まった時に初めて、何年もかけてチームを作って大会に臨むという状況になったんです。当時はまだリーグ戦も各チーム30試合あるかないかで、シーズンが終わる時期も早かったので、そこからすぐに代表合宿が始まっていました。それで少しずつ力をつけていったんですが、今はBリーグが各チーム60試合あってなかなか強化も難しいし、他にも海外でプレーする選手の招集など、改善・対応しないといけない課題が出てきているのが現状ですね。

自国開催のビッグイベント「プレッシャーを追い風にしてほしい」

40歳を過ぎた今もBリーグでプレーを続ける五十嵐圭 [写真]=B.LEAGUE


――2006年、日本で開催されたFIBA世界選手権(現ワールドカップ)でのプレッシャーはどうでした?
五十嵐
 予選ラウンドでニュージーランドに勝てば決勝トーナメントに、というところまでたどり着きました。前半はそれまでの集大成というか、一番いい出来の試合ができたのですが、後半に逆転負けを喫します。プレッシャーというより自分の経験の無さを痛感したというか…、困ったときに折茂(武彦、現レバンガ北海道社長)さんばかり見てしまったんですね。チームも自分自身も現状を打開するためにアクションを起こせるプレーヤーにならなければならないと、あの試合を通じて感じたこと、今でも意識しています。

――日本代表の先輩として、後輩に伝えたいことはありますか?
五十嵐
 責任や重みはあると思いますが、今の代表の選手は自分たちのときとは違って、能力のある若い選手がたくさんいて、世界とも戦えるメンバーだと思います。期待をされている中でプレッシャーを感じる部分もあると思いますが、今できる自分たちのプレーをしてもらいたいですし、思い切り、日本開催だけにプレッシャーを逆に追い風になるよう頑張ってほしいです。とにかく思い切りやってもらいたいと思います。

――日本開催のオリンピックでプレーできるのも強運を持っていると言えますね。
五十嵐
 今代表に選ばれている選手は羨ましいと思いますし、自国開催のオリンピックは人生の中で1回あればというぐらいのタイミングだと思うので、悔いを残してほしくないですし、日本のバスケットボール界の将来につながるプレーを見せてほしいですね。八村塁選手(ワシントン・ウィザーズ)と渡邊雄太選手(トロント・ラプターズ)がNBAでプレーできているということは、子どもたちからすれば大きな憧れであり、目標にもなっています。いずれNBAでプレーできる選手が増えていってほしいと思っているので、オリンピックで日本のチームがどれだけのインパクトを残せるか、大きな使命を持って臨める大会だと言えます。

――この6月からバスケット日本代表は国際試合を戦い、バスケットLIVEでも配信されます。G.G.佐藤さんはバスケットの試合はご覧になりますか?
G.G.
 Wリーグの富士通にお友達がいたので現地に見に行ったこともありますし、仙台89ERSは応援していてこの間のプレーオフもバスケットLIVEで見ました!

――ありがとうございます。AKATSUKI FIVEの戦いを皆さんで応援していきましょう! 本日はありがとうございました!

G.G.佐藤
佐藤隆彦。1978年千葉県市川市出身。
桐蔭学園高等学校→法政大学→フィラデルフィア・フィリーズ1A→西武ライオンズ(現・埼玉西武)→フォルティチュード・ボローニャ1953(イタリア)→ロキテクノ(クラブチーム)→千葉ロッテマリーンズ
2008年、北京五輪前のリーグ戦で打率.309、本塁打21、打点62の活躍で北京オリンピック野球日本代表に選出される。北京五輪では予選リーグで5試合に先発出場。オランダで本塁打を放つなど勝利に貢献した。しかし、準決勝の対韓国戦では3失点に絡む2失策。アメリカとの3位決定戦でも落球の失策を犯すなど、「メダルを逃したA級戦犯」として大バッシングを受けた。
五十嵐圭
1980年、新潟県上越市出身。
北陸高校で全国大会を経験、進学した中央大学で頭角を表し、日立サンロッカーズに入団。
スピード豊かな司令塔として、当時日本代表のヘッドコーチに就任したジェリコ・パブリセヴィッチ氏の抜擢により代表に選出される。2003年FIBAアジア選手権、さらに06年、日本で開催されたFIBA世界選手権に出場した。
Bリーグの誕生とともに、地元の新潟アルビレックスBBに移籍。41歳を迎えたが、20代当時から衰えないスピードとベテランらしいゲーム運びで、今でもクラブに欠かせない存在となっている。

バスケットボール日本代表戦スケジュール
女子日本代表…『三井不動産カップ2021』
・6月10日(木)19時00分〜 vsポルトガル代表 @神奈川
・6月12日(土)15時00分〜 vsポルトガル代表 @神奈川
・6月13日(日)15時00分〜 vsポルトガル代表 @神奈川

男子日本代表…『国際強化試合2021』
・6月23日(水)19時00分〜 vsイラン代表 @宮城
・6月25日(金)19時35分〜 vsイラン代表 @岩手
・6月27日(日)15時00分〜 vsイラン代表 @岩手

バスケットLIVEで生配信

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