2025.07.12

再び日の丸を背負い国際舞台へ…初心に戻りアジアカップに挑む渡嘉敷来夢

渡嘉敷は2022年の女子ワールドカップ以来の代表戦の臨む [写真]=野口岳彦
バスケットボールキング編集部

 明日から中国・深センで開幕するFIBA女子アジアカップ2025。高さとスピードを兼ね備えた新体制の日本代表の中で、再びその存在感を示そうとしているのが、渡嘉敷来夢だ。

 2010年代の日本代表を支えてきた渡嘉敷にとって、今回のアジアカップは久々の大舞台となる。代表活動からやや距離を置いていた時期を経て、再び「12人」の中に名を連ねた。その胸中について聞かれると、「残った実感がまだ湧いていません。遠足前の小学生みたいで、昨日はあまり寝られませんでした」と笑いながらも、「代表活動に行けるって本当に幸せなことなんだと、改めて思いました」と、純粋な喜びを口にした。

 女子代表の新チームは、平均身長180センチ超という特徴を持つ。その中でも長身フォワードの渡嘉敷は、攻守において鍵を握る存在だ。「日本の良さであるスピードは落ちていないと感じています。そこを自分も含めて全ポジションで追求していけば、世界と戦える、勝てるチームになると思います」と手応えを語る。高身長化と機動力の両立は、長年の課題だった日本にとって一つの進化形であり、その中でベテランがどんな役割を果たすかにも注目が集まる。

 グループフェイズでは、オーストラリアや中国といったフィジカルに優れるチームと対戦する。「身長の高い選手とやる機会は国内ではなかなかありません。そういった意味では楽しみです」と前向きな姿勢を示し、「オーストラリアは試合は見ていませんが、ロスターを見るとアグレッシブな選手が多いです。同じポジションの選手とも真っ向勝負したいです」と闘志をにじませた。

 一方で、中国については「久しぶりに中国に行きます。何年か前はすごくアウェーな雰囲気の中で勝てたことが気持ちよかったです。今回もまたそうなればいいなと思っています」と語り、敵地での戦いに燃えている。

 今回の代表活動のスタート時、渡嘉敷は「ここに来るだけがゴールではありません。ロサンゼルスオリンピックに出るのがゴールです」と語っていた。その第一歩であるアジアカップに出場する意味を、本人はこう語る。

「久しぶりのアジアカップですが、まだ自分が残ったという実感が湧いていないです。どんな気持ちだったかなと、初心に帰っている感覚です。本当に楽しみな気持ちが強くて、遠足前の小学生みたいな気分で昨日はあまり眠れませんでした。自分が行くのか、とワクワクしています。この2年間は代表活動を見ている立場だったので、以前は呼ばれているのが当たり前になっていた部分もありましたが、今は代表に行けることのありがたさを改めて実感しています。今はこのアジアカップというスタートラインに立てたことがうれしくて、本当に楽しみです」

 同時に、若手への眼差しも温かい。トップ代表初選出の田中こころについて聞かれると、「自分の19歳や20歳の頃よりもしっかりしているなと感じています。ポイントガードという立場もあると思いますが、思いっきりこころの良さを出してほしいです。あとは私たち年上がしっかりカバーするだけです」と語った。

 日本の高さ対策においても、その貢献は大きい。キャプテンの髙田真希も「プレー面でもリーダーシップでも、頼もしい存在が帰ってきてくれた」と全幅の信頼を寄せる。高さへの対応が求められる中で、リバウンド、インサイドのディフェンス、フィジカルのぶつかり合いなど、渡嘉敷にかかる期待は大きい。

 再び日の丸を背負う。かつてのエースが、初心に戻った眼差しで、新たな挑戦へと踏み出す。しかしまだスタートラインに立っただけ。それでも視界の先には、確かにゴールが見えている。

文=入江美紀雄

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