2024.11.16
クレイ・トンプソン(NBAダラス・マーベリックス)の『チェイス・センター』への帰還は、感動的なものとなった。
現地時間11月12日に会場に訪れたファンには、トンプソンに敬意を表してトレードマークのキャプテンハットが配られ、客席は船長一色に。また、試合ではスプラッシュブラザーズとして共に一時代を築いたステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)がマッチアップを任され、開幕直後からファウルで止めにいくなどエンジン全開。試合は終盤まで接戦の展開となったが、カリーは残り3分でチームの12得点全てを決め、残り27秒では伝家の宝刀であるスリーポイントをお見舞いし、お馴染みの“ナイト・ナイト”のポーズでマブスの息の根を止めた。
盟友との初対戦ということもあり、カリーはいつもと異なる覇気を纏っていたように思えるが、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)は背番号30の試合前の様子をこう語っている。
「ステフが試合に出場したとき、彼は怒っていた。俺が彼にテキストメッセージを送ると、すぐに彼から電話があったから、少しだけ動揺を誘ったよ。『あいつはもう俺たちのスプラッシュブラザーじゃない』ってね。それでステフを激怒させてしまった。そうだ、昨晩クレイと話したんだ。試合前にステフがスピーチをすることになっていたからね。でも、ステフは電話越しに『レイモンド(・リッダー※ウォリアーズの副社長)に電話してスピーチしない意向を伝えたよ。僕は試合に集中する必要がある。だから話さないし、その件についてはクレイにも伝えた』と言っていた。彼はクレイに別件で連絡を取ろうとしたけど、クレイが彼の連絡を無視したから、ステフは激怒したんだ」
スプラッシュブラザーズの解散は、カリーにとってもトンプソンにとっても心に沁みるものがあったのは紛れもない事実である。トンプソンは慣れ親しんだベイエリアに敵として乗り込んだ一戦を前に「レギュラーシーズンの1試合にすぎない」と平静を装ったが、試合後にはファンからの尊敬に心からの感謝を述べ、カリーについては「怒涛の攻撃を喰らった。カップ戦初戦であんなプレーをされたら気分が良いわけない」と、かつてのバディーを讃えている。
一方のカリーも「忘れられない夜になった」と、トンプソンとの初対戦を振り返っている。そして、もし行われていたら感動的になっていたであろうスピーチを断った理由についても言及した。
「ファンが彼を認めることが重要で、それを煽るために僕が何かを言う必要はなかったんじゃないかな。明らかに、僕のことではない。ベイエリア、僕たちのフランチャイズ、そして2011年から昨年まで彼を応援してきた全てのファンにとって、彼が何を意味していたかということ。組織の観点から言えば、本当によくできたと思う。ファンは自分たちの役割を果たしたし、僕とドレイモンドも彼にふさわしいスタンディングオベーションの一部になれたよ」
4本のリングを獲得した後、今シーズンから袂を分かったウォリアーズの元ビッグ3。これからはライバルとして、コート上で激しく火花を散らしあうことだろう。
文=Meiji
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