2025.07.23

「怪我はただの不運」ハリバートンがアキレス腱断裂を語る…リハビリ期間はコーチ会議にも参加する意向

NBAファイナル2025第7戦でアクシデントに見舞われたハリバートン[写真]=Getty Images

■“アキレス腱断裂の先輩”から助言

 タイリース・ハリバートンインディアナ・ペイサーズ)は、バスケットボールプレーヤーの夢の頂まであと一歩のところまで迫った。しかし、神様は無情にもこのポイントガードに微笑むことはなく、アキレス腱断裂というキャリアを左右する困難を与えたのだった。

 ハリバートンは「ESPN」の人気トーク番組『The Pat McAfee Show』に出演。ケガの状況や、リーグが問題視するアキレス腱断裂の増加などについて、自身の口から語っている。

 大怪我後、初めて公の場に登場したハリバートン。昨シーズンは同選手のほか、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)やデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)といった選手たちのアキレス腱断裂が相次ぎ、リーグは専門家委員会を設置して原因究明に努めている。しかし、当事者の1人であるハリバートンはリーグとは意見が異なり、特定の原因があって負傷者が続出しているとは考えていない。

「選手が怪我をしたり、何度も怪我をしたりすると、誰もがなぜそうなるのか理由を知っていると思い込んでしまう傾向がありますよね。試合数が多すぎるとか、プレー時間が長すぎるとか、皆そのように考えます。確かにその通りかもしれませんが、私はそれが怪我の原因だとは思っていません。怪我はただの不運で、それが今回起こったことなんです。スポーツでは時々そのようなことがあるのだと思います」

 ハリバートンは自身のケガについて、水分補給が十分でなかったことや、MRIを撮り、レギュラーシーズンでは数週間コートを離れるような腫れや痛みがあったものの、NBAファイナルという大舞台だったからプレー継続を選択したことなどを理由に挙げている。

 また、ハリバートンはアキレス腱断裂にあたり、同じケガを経験して完全復活を果たしたケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)からも教えを請うたという。デュラントはハリバートンの元を実際に訪れ、様々な助言を与えたようで、ハリバートンは偉大なスコアラーとのエピソードについても明かしている。

[写真]=Getty Images


「KDは『“アキレス腱断裂の男”でいるのはもううんざりだ』と言っていました(笑)。でも、こうなるしかなかったと思います。復帰してあんなに高いレベルでプレーできた選手はそう多くはありませんから。彼は我々のゲームにおける象徴的な存在なので、みんなが彼に声をかけるのは当然です。KDが先日、僕の自宅を訪れてくれて本当に励みになりました。しばらく座って話をしましたが、有意義な時間でしたね。僕にとって重要なのは、メンタルをしっかり整えることだと思います。だから、インディアナ・フィーバーの試合には必ず行くし、ケガや嫌な思い出を忘れるために何かできることはないかと模索しています。幸いにも素晴らしい仲間に囲まれ、家族や友人の素晴らしいサポート体制に支えられています」

■「歩けるようになったらすぐにベンチ入りするつもり」

 これまで、数々の名選手たちのキャリアを葬ってきたアキレス腱断裂という悪魔のケガ。ハリバートンもトップレベルでコートに戻ってこれる保証はなく、何よりリングに手が届く目前の出来事だっただけに、ショックの程度は計り知れない。

 ハリバートンも未だに落ち込むことや怪我をした瞬間を思い返すことは少なくない様子。しかし、事実を受け入れて復帰に向けての道のりを歩み始めている。

[写真]=Getty Images


「そんなに長時間ではないけれど、一人でいる時、座って、これまで起こったこと全てを考えて『本当に最悪だ』と思うことがあります。でも、復帰するために必死に戦うつもりです。そして、願わくば再び優勝できるチャンスをつかみたい。でも、それが保証されているわけではありません。時々、そんな気持ちが頭から離れなくて、嫌な気分になるんです。ただ、過去も未来もコントロールできるものではありません。僕にできるのは、このリハビリに全力を尽くして取り組み、解決策を見つけ出すことだけです」

 ハリバートンは『The Pat McAfee Show』のエピソードで、オクラホマシティ・サンダーと対戦したNBAファイナルにも言及。マッチアップしたシェイ・ギルジャス・アレクサンダーについて問われた際も、賞賛を惜しむことはなかった。

「(彼らがベストであることは)間違いありません。想定通りでした。NBA最高のチームであり、年間を通してそうでした。シェイのペイントでのシュートタッチは、エリートレベルです。体格のいい分厚い選手ではありませんが、素晴らしい仕事をして最適なスポットに到達します。アウトサイド、ミッドレンジ、ゴール下のすべてで得点できます。これが彼がMVPたる所以です」

[写真]=Getty Images


 ペイサーズのケビン・プリチャード球団社長は、ハリバートンが2025ー26シーズンを全休することを公言している。この1年はしばらくの安静期間を経て、再発防止のためにこれまで以上のフィジカルを作り上げ、新たなプレースタイルを模索する期間となるだろう。

 ハリバートンはプレーできない時間も有意義に活用する意向で、2026ー27シーズンの復帰までに用意された時間を最大限に活用することが目標だと語る。

「この時間を活用して、バスケットボールに対する意識を高めていきたいと思っています。(リック・)カーライルHCの側で過ごし、コーチ会議にも出席し、プリチャード球団社長と話をして、彼らを助けたいです。僕自身、バスケットボールに対する意識はかなり高いと自負しています。だから、できる限り選手たちを助けたいと思っています。歩けるようになったらすぐにベンチ入りするつもりです」

 昨シーズン、彼のバスケットボールへ対する情熱と愛情は、間違いなく我々ファンの心を揺さぶった。復帰した際には最大限のスタンディングオベーションで迎えられ、その声援がファイナルへの道のりを後押しするだろう。

文=Meiji

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