2025.10.02
4度のNBA覇者であるアンドレ・イグダーラ(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)は、19年のキャリアで輝かしい成績を残した。しかし、ウォリアーズの永久欠番は球団から、常に“バスケットボール選手以上の存在”として信頼を寄せられてきた。
イグダーラは、Podcast『The Young Man and The Three』に出演し、競技に対する知恵と深い洞察を披露。そして、次世代の若手選手、特に学生アスリートたちに対して、早期の成功が必ずしも長期的な偉大さに結びつくわけではないことを力説した。
「アンダードッグであることは常に良いことだ。なぜなら本当に努力しなければならないからだ。俺たちはいつも話す。『14歳の段階で世界一のバスケットボール選手は多くの場合、NBAに行けない』とね。皆はバスケットボールの世界におけるそうした側面を理解していない。1999年、俺が高校のフレッシュマンだった頃、『当時の一番の選手は誰だった?』と思い返すと驚くよ。その選手はNBAにたどり着けなかったんだ」

アリゾナ大学でプレーしたイグダーラ[写真]=Getty Images
イグダーラは、カーメロ・アンソニー(元ニューヨーク・ニックスほか)らを輩出した黄金世代、Class of 2002の出身である。しかし、当時の『ESPN』が発表したトップ75のリストにおいて、彼は全米79位の評価だった
一方で、当時の世代トップにはレニー・クックという選手が存在した。彼は後のNBAオールスターたちを凌ぎ、全米ナンバーワンに君臨した人物。しかし、世代で最も有望だったクックは2002年にドラフトで指名されるどころか、一度もNBAのコートを踏むことはなかった。その理由には、期待と現実のギャップ、意思決定のタイミング、周囲からのサポートの欠如などが挙げられており、クックの経験と教訓はドキュメンタリー映画化され、才能だけでは十分ではないことや、地に足をつけることの重要性を説いている。
イグダーラは、学生時代に高評価を受けた選手でも成功しない例があることについて、以下のように続けている。
「なぜなら、弱かったからさ。今思えば、彼らは成長が早く、身体が成熟していただけなんだ。けれど、早くにピークを迎えてしまった。俺の息子は身長203センチ、79キロだが、体重と筋力が増し、生活を律すれば一気に伸びると分かっている。彼は自分を証明しようとしていて、必死に練習している。それでも実際にトッププレーヤーたちは本当に上手い。全員がNBAに到達できるレベルだ」
日本においても、同様のことが言える。八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)や河村勇輝(シカゴ・ブルズ)のように、当時から世代トップクラスでNBAの切符を手にしたプレーヤーも存在するが、中には道半ばでプロキャリアを閉ざされたプレーヤーも少なくない。一方で、大浦颯太(三遠ネオフェニックス)のように、高校時代に全国大会出場経験はなく、大学も関東大学リーグ2部からのスタートとなったが、昨シーズンはBリーグのベスト6thマンを受賞し、「FIBAアジアカップ2025」の予選では日本代表にも選出されている。

何度も対戦したイグダーラとコービー[写真]=Getty Images
「例えばコービー(・ブライアント)のような選手。以前、シェイドン(・シャープ)にも話したが、コービーのフットワークだ。両足でピボットできるとか。カイリー(・アービング)もそうだ。夏を丸ごと使って左手だけでシュートするとか。俺はいつも車にバスケットボールを置いていた。どんな時でもだ。気が向いたらボールを掴んで道をドリブルして歩いたりした。そういう“若さ”を持ち続けること。ゲームへの愛が必要なんだ。けど本当に大事なことは細部に宿る。それが良い選手と偉大な選手を分ける」
規律を重んじ、素晴らしい労働倫理を持ち、継続的に成長することができれば、学生時代のトッププレーヤーたちとの差は埋めることができる。それに不可欠なのは細部への徹底したこだわり。イグダーラはキャリアを通して、それを証明してきた人物なのだ。
文=Meiji
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