2025.10.22

今季でレイカーズと契約満了の八村塁…契約交渉の停滞にも動じず「契約はビジネス、自分のプレーをするだけ」

チームでの地位が安定しているだけに、八村もプレーに専念できる [写真]=Getty Images

 歴代最多タイのリング獲得に向けて始動したロサンゼルス・レイカーズは、レブロン・ジェームズルカ・ドンチッチの二枚看板を軸にロスターを構築している。ビッグマーケット、そしてリーグの顔であるスター選手を抱える球団にとって、最も大きな悩みの種となるのが選手との契約だ。

 レイカーズは中心選手たちの去就が不透明な状況だ。成長著しい貴重な得点源であるオースティン・リーブスは今シーズン終了後に制限なしのフリーエージェント(FA)になる。そしてもう1人、来夏に同じくFAとなる先発選手がいる。それが日本の至宝、八村塁だ。

 八村は2023年のオフにレイカーズと3年総額5100万ドル(約77億4000万円)の契約を締結。今シーズンはそのラストイヤーとなっており、約1800万ドル(約27億3000万円)を受け取る契約となっている。

 数シーズン前はXファクターとして扱われていた八村だが、昨シーズンからは抜群の安定感で監督とファンの双方から信頼を勝ち取っている。昨年は平均13.1得点5.0リバウンド1.4アシスト、スリーポイント成功率41.3パーセントをマーク。アウトサイドは2シーズン連続の40パーセント超えで、昨シーズンのプレイオフでは驚異の48.4パーセントを記録している。プレシーズンでも成功率45.0パーセントと好調で、勤勉な性格ゆえ戦術理解度も高く、JJ・レディックヘッドコーチにとっても欠かせない存在となっている。

 近年の活躍を見ると、次回の契約延長でのサラリーアップは確実と見る。しかし、現時点では目立った動きは確認できていない。

 しかし、八村自身はシーズンに集中しており、メディアに対して契約に関する自身の心境を冷静に語っている。

「契約はビジネスの一部です。僕にできることは何もありません。僕は自分のプレーをするだけです。今シーズン、チームが勝つために求められていることをやる、それだけです。契約のことは自分のコントロール外です。考えても仕方ないので、僕にできることはプレーに専念だけです」

 八村のプレーやコート外での取材対応から、“NBA7年生”らしい落ち着きと貫禄を感じている人は多いことだろう。レディックHCも同様の感想を抱いており、八村が依然としてチームに欠かせない存在であることを強調した。

「塁は今、すごく自信を持ってプレーしています。毎日の練習でも楽しさを全身で表現している。そういう姿勢がチーム全体に良い影響を与えています」

 レイカーズが現時点で八村に新契約を提示していない理由は、来シーズン以降にキャップスペースの柔軟性を残しておくために他ならない。今年8月、『The Athletic』のジョバン・ブハ記者は、レブロンのほか、制限なしFAとプレーヤーオプションの選手で歴史的な動きがあるであろう来夏のマーケットを理由に、シーズン中に八村との新契約が結ばれる可能性は低いと予想していた。

「もちろん何かが起こる可能性はありますが、現段階で私が知り得る情報のほとんどは、レイカーズが契約をクリーンに保ち、八村塁を先発に起用するのか、それともシックスマンとして起用するのか、そして今年のチーム構成にどう合うのかを見極めたいと考えているということです」

 現在のレイカーズのロスターで来シーズン以降の契約が確定しているのは、ドンチッチとジャレッド・ヴァンダービルドおよびルーキー契約下にある若手のみとなっている。八村は実力、安定感、人間性、若さ、人気など、新契約に値する条件が多数揃っている一方、今シーズンのチームサラリーでトップ3に入るプレーヤーだけに、フロントは契約延長に慎重になっている。

 将来の契約交渉を見据えつつも、八村は一切の雑音をシャットアウト。目の前の試合に集中し、プロ7年目の成熟を静かに示している。

文=Meiji

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