2025.10.31

レイカーズ売却を正式承認…史上最高額でバス家からウォルター氏へ過半数株移譲

大谷翔平のドジャース入団会見に出席したウォルター氏(左)[写真]=Getty Images
バスケ情報専門サイト

 NBA理事会は10月31日(日本時間30日)、八村塁が所属するロサンゼルス・レイカーズの過半数株式をマーク・ウォルター氏が取得する取引を全会一致で承認した。6月に報じられた合意が正式に認可された形で、ジニー・バス氏は今後もチームガバナーとしてクラブ運営に関与する。

 NBAの公式リリースによると、今回の取引は「近日中に完了する見込み」とされ、ウォルター氏がレイカーズの筆頭オーナーとなる。一方で、バス家は一定の持分を保持し、チーム運営への関与を続ける。ジニー・バス氏は少なくとも今後5年間、チームガバナーを務める契約を結んでいる。

 今回の売却は、事前に報じられていた合意が正式に承認された形だ。当初、6月の段階でバス家がレイカーズの過半数株をマーク・ウォルター氏に売却することで基本合意に達したと現地メディアが伝えており、その時点でウォルター氏が既存の少数株主であること、バス家が一定の持分を残し、ジニー・バス氏が引き続きチームガバナーを務める方針であることも報じられていた。今回の発表は、数カ月にわたる承認手続きとリーグ審査を経て正式に確定したものとなる。

 レイカーズの経営権を握ってきたバス家は、1979年に故ジェリー・バス氏がチームを買収して以来、40年以上にわたりフランチャイズの象徴的存在としてNBAを支えてきた。マジック・ジョンソンとカリーム・アブドゥル=ジャバーが率いた1980年代の黄金期、そしてコービー・ブライアントとシャキール・オニールの時代を経て、レブロン・ジェームズを中心とした現在に至るまで、常にリーグを代表するクラブの一つとして地位を築いてきた。

 今回の売却額は非公表だが、複数の米メディアは約100億ドル(約1兆6000億円)規模と報じている。実現すれば、プロスポーツ史上最大のフランチャイズ取引となる見通しだ。ウォルター氏はすでに少数株主としてレイカーズに出資しており、WNBAロサンゼルス・スパークスの筆頭オーナー、MLBロサンゼルス・ドジャースの共同オーナーも務めるなど、ロサンゼルスを拠点とするスポーツ界に深く関わってきた人物である。

 NBAのアダム・シルバー・コミッショナーは声明の中で「ウォルター氏は長年にわたって我々のリーグと関係を築いてきた。彼の経験と経営手腕はレイカーズに新しい価値をもたらす」とコメントした。また、バス家については「46年間に及ぶリーダーシップと献身的な貢献に感謝する。ジニー・バス氏が引き続きリーグの一員として関わることを嬉しく思う」と述べた。

 ウォルター氏は投資会社グッゲンハイム・パートナーズの共同創設者として知られ、ドジャース買収後は地域密着型経営とブランド戦略を両立させてきた実績を持つ。レイカーズにおいても、スポーツとエンターテインメントの融合、グローバル展開の加速など、従来の経営基盤を拡張する動きが予想される。

 一方で、バス家が長年にわたり築いてきた「レイカーズ・カルチャー」をどのように継承し、発展させるかも焦点の一つとなる。ジニー・バス氏はクラブの伝統とファンとの結びつきを重視しており、ウォルター氏が新たな資本と経営戦略を導入する中で、そのバランスが問われることになる。

 ウォルター氏は「レイカーズは世界で最も象徴的なスポーツチームの一つであり、バス家の功績に敬意を払いつつ、次の時代を築きたい」とコメントしている。取引の完了後、レイカーズはドジャース、スパークスと同一グループに属する体制となり、ロサンゼルスのスポーツ3クラブを中心とした地域連携や事業シナジーの拡大にも注目が集まる。

 NBAを代表する名門チームのオーナー交代は、リーグ全体の資本構造や運営モデルにも影響を及ぼす可能性がある。歴史の継承と新時代の挑戦が交錯する中、レイカーズは再び大きな転換期を迎えようとしている。

NBAの関連記事