2020.06.08
5月18日(現地時間17日、日付は以下同)の第9、10話をもって、シカゴ・ブルズが最後の優勝を飾った1997-98シーズンを追跡したドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』の配信が終了した。
マイケル・ジョーダン(元ブルズほか)を中心に描かれたこのドキュメンタリーは、ジョーダンのキャリアやブルズで成し遂げたことを振り返るシーンも多数登場し、当時プレーしていた選手たちや現役選手たちにも多大なインパクトを与えたと言っていい。
第5話ではジョーダンに憧れ、NBAのトッププレーヤーの1人にまで上りつめたコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ/今年1月末に急逝)とのエピソードもあり、ジョーダンとコービーによる良好な関係がクローズアップされたと言えるだろう。
レイカーズでコービーやシャックことシャキール・オニールらと2000年から02年にかけて3連覇を果たしたロバート・オーリー(共に元レイカーズほか)は、この『ザ・ラストダンス』を観たことで、コービーがどれだけジョーダンに憧れを抱いていたかをあらためて実感したという。
22日に『Wireside Chat』へ出演したオーリーは、ロケッツのアナウンサーを務めるクレイグ・アッカーマンへこう話していた。
「『ザ・ラストダンス』でマイケル・ジョーダンをたくさん観るチャンスがあったんだけど、なんだかすごく不思議だった。彼が口にしていた言葉を聞いて、コービーがいつも言ってたこともそうだし、癖や言い回し、言葉遣いやスラングとか、やっていたことが(ジョーダンと)ほとんど同じだったんだ。それを真似ていたんだなと思ったよ」。
オーリーはキャリア序盤にヒューストン・ロケッツの2連覇(1994、95年)に主力として貢献。206センチ99キロのオーリーは身体能力を駆使して攻防両面においてアキーム・オラジュワン(元ロケッツほか)らを支え、勝負どころで繰り出す3ポイントで貴重な勝利をロケッツにもたらしてきた名脇役。
その後フェニックス・サンズを経てレイカーズへ加入すると、“ビッグショットロブ”の異名のとおり、いくつものクラッチショットや決勝弾を放り込み、劇的なハイライトをいくつも生み出してきた。
コービーとレイカーズで約7シーズンを共にプレーし、サンアントニオ・スパーズへ移籍後も対戦相手として何度も見てきたオーリーはこう続けていた。
「こういうフレーズを使うのはあんまり好きじゃないんだけど、まるで亡霊を観ているかのようだった。でもマイケル・ジョーダンを観たことで、コービーがどれだけあの男から学ぼうとしてきたかがわかったし、いくつかの面で(ジョーダンを)少しだけ上回っていたんだなと思ったね」。
オーリーはNBAキャリア16シーズンの中で、ロケッツ(2度)、レイカーズ(3度)、スパーズで2度(05、07年)と計7度の優勝を経験。1959年から66年まで8連覇を達成したボストン・セルティックスの選手たちを除くと、歴代最多のチャンピオンリングを手にしてきた。
その中で、オーリーはオラジュワン、クライド・ドレクスラー(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)、シャック、ティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ(共に元スパーズ)、トニー・パーカー(元スパーズほか)といった偉大な選手たちとプレーしてきたのだが、コービーは「最高のチームメートだった。偉大な選手であり、一緒にプレーしてきた選手たちの中で最もスマートな選手の1人」と評していた。
ジョーダン、コービー、それにレブロン・ジェームズ(レイカーズ)といった選手たちは、オフシーズンであろうとシーズン中であろうと、「史上最強選手は誰だ?」という“G.O.A.T.論”に出てくるのだが、「俺はそういった話が本当に嫌いでね。1対1したら誰が勝つのか、あるいはファンが言うのも好きじゃないんだ」と持論を展開。
そして「俺が言えるのは、彼がいなければ(レイカーズで)優勝することはなかったということ。彼は数多くの場面で俺を突き動かしてくれたし、最高のアドバイスをたくさんしてくれたから」とコービーへの感謝を口にしていたことが印象的だった。
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