2022.07.08
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:シャーロット・ホーネッツ(イースタン・カンファレンス10位)
総合評価:A
■プロフィール
生年月日(年齢):1995年2月22日生まれ(25歳)
ポジション:ガード
身長/体重:185センチ/83キロ
NBAキャリア:2年目
<今季ここまでの功績>
ライジングスターズチャレンジ出場(初)
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:35.1分(リーグ13位)
平均得点:18.2得点
平均リバウンド:3.4本
平均アシスト:7.5本(リーグ8位)
平均スティール:1.0本
平均ブロック:0.2本
フィールドゴール成功率:38.2%
3ポイント成功率:37.3%
フリースロー成功率:82.0%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:46分24秒(19年12月28日/対サンダー)★
得点:40得点(19年12月12日/対ネッツ)★
リバウンド:9本(19年12月28日/対サンダー)★
アシスト:15本(19年11月28日/対ピストンズ)★
スティール:4本(20年3月10日/対ホークス)★
ブロック:2本(2度)★(キャリアハイタイ)
フィ―ルドゴール成功数:12本(19年12月12日/対ネッツ)★
3ポイント成功数:10本(19年12月5日/対ウォリアーズ)★
フリースロー成功数:11本(19年11月6日/対ペイサーズ)★
★=キャリアハイ
昨季ホーネッツでNBAデビューしたグラハムだったが、当時はオールスターのケンバ・ウォーカー(現ボストン・セルティックス)、レジェンドのトニー・パーカー(元サンアントニオ・スパーズほか)がいたため、出場46試合(うち先発は3試合)で平均14.7分4.7得点2.6アシストと、活躍の場は限られていた。
だがケンバが移籍し、パーカーが引退して迎えた今季、新加入のテリー・ロジアーと共に先発バックコートを形成するまでに急成長。開幕11試合目から先発へと昇格したグラハムは、12月5日のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で10本の3ポイントを放り込んで33得点、12日のブルックリン・ネッツ戦では後半だけで挙げた27得点を含むキャリアハイの40得点と大爆発。いずれもホーネッツを勝利へと導く殊勲の働きを見せた。
12月5日に『NBA.com』へ掲載された記事の中で、ジェームズ・ボレーゴHC(ヘッドコーチ)はグラハムが昨季途中にGリーグのグリーンズボロ・スウォームへ行き、平均23.3得点4.7リバウンド4.6アシスト1.6スティールと結果を残し、ホーネッツからコールアップされたことで、何かを感じていたという。
「彼は自分に自信を持つようになったんだ。それにトニーとケンバの下で、学ばなければならなかった課題を受け入れた。そして彼は『このチーム、それにリーグの中で名を残したい』と悟ったんだろう。彼はGリーグに行ったことで輝き、成長を遂げた。私は『十分に準備はできているんだな』と感じたよ」。
11月途中に先発へ昇格したグラハムは、同月に平均18.8得点7.4アシスト、12月には平均19.8得点8.0アシストというすばらしい成績でホーネッツをけん引。ベンチプレーヤーだった昨季から一転、今季はエーススコアラーの座を手にし、MIP(最優秀躍進選手賞)の有力候補にまで浮上している。
「シーズン序盤に最高のスタートを切り、大きな役割が与えられるなんで、全く期待してなかったんだ」と切り出したグラハムだが、「自分にとっていい機会であり、自信になるんだと言い続けてきた。夏の間に集中して取り組んできたし、チームメートたちやコーチ陣が僕にものすごい自信を与えてくれた。それで僕はコートに出て、アグレッシブにプレーしている」と自信をのぞかせた。
急成長を遂げたスコアリングガードは、2月にライジングスターズチャレンジのアメリカチームにも選ばれ、ベンチスタートで3本の3ポイントを決めて9得点6リバウンド5アシストと存在感を誇示。
グラハムの大躍進にはオーナーのマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)も「彼がここまでの活躍を披露するとは誰も予想していなかった。それでも、彼はきっと昨シーズンより『自分はできるんだ』と信じていたんだろう。彼の活躍は世界を驚かせたね」と太鼓判を押しており、うれしいサプライズとなった。
イースト10位のホーネッツは、現時点で8位のオーランド・マジックと7.0ゲーム差のため、惜しくも第二幕への出場権を手にすることができなかった。だがグラハムやロジアーを中心とする若手ぞろいのチームは、オールスター後に5勝6敗を記録しており、来季に向けて楽しみなチームになったと言っていいだろう。
今季チームのトップスコアラーへと成長したグラハムについて、ホーネッツのバスケットボール運営部門代表兼GM(ゼネラルマネージャー)のミッチ・カプチャックは「デボンテはものすごくうれしいサプライズだった」と発言。
ボレーゴHCも「おそらく、このシーズンで最大のサプライズだと思う。我々は彼がいい選手になることは分かっていた。彼にはそのポテンシャルと能力があると知ってたからね。昨年の夏、彼はものすごくハードに練習をこなしていたんだ。どんな選手が飛躍するかなんて、誰にも分からないものさ。その中で、デボンテは大きな影響を与えるほどの成長を見せた」と絶賛している。
自信満々にショットを繰り出し、次々と沈めていったグラハムは、6月16日に『NBA.com』へ掲載された記事の中で今シーズンについてこう振り返っている。
「僕は本当に、個人としての称賛を得ることにフォーカスしていたわけじゃない。いつだってチームのことを第一に考えてやってきた。自分にコントロールできることをコントロールして、自分のプレーとハードワークしていくことが僕のスタイルなんだ。ケンバとトニーがいない中で、今シーズンの僕はチャンスを与えられたけど、ずっとそれをこなしてきた。健康体でいられたこと、そして僕のことを助け、背中を押してくれたチームメートたちに感謝してるよ」。
3月の5試合では平均24.2得点と、ショット全般で絶好調だったグラハム。今シーズンの活躍で手応えをつかんだだけに、来シーズン以降もホーネッツのエーススコアラーとしてさらなる成長を期待したいところだ。
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