2021.12.24

3連覇に向けて女王が好発進…エースの朝比奈は「先生に70勝目をプレゼントできたら」

桜花のキャプテンの朝比奈は15得点をマーク [写真提供]=日本バスケットボール協会
バスケットボールキング編集部

 12月24日、「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は女子2回戦が行われた。Aコートの第2試合には大会3連覇を目指す桜花学園高校(愛知県)が登場。旭川藤星高校を1回戦で破った山梨県の日本航空高校と対戦した。

 試合は、第1クォーターから桜花学園がペースをつかむ。平下結貴(3年)のシュートで先制すると、横山智那美(2年)、朝比奈あずさ(3年)とたたみ掛け、第1クォーターを28−13とリード。その後もまったくと言っていいぐらいスキを見せない戦いぶりで、ロスター全員出場の93−40で完勝した。

 個人スタッツではガードの横山が18得点10リバウンドのダブルダブルを達成。エースの朝比奈が15得点、ベンチスタートの玉川なつ珠(3年)が4本の3ポイントシュートを含む14得点をマークした。

 今大会で23回の優勝を誇る桜花であっても、大会の初戦は緊張や大会の雰囲気に乗れないなどで、勝利したとしても評価できる内容とは言えないことはままある。しかし、この日の桜花は文句のつけどころがなかった。

 試合後、メディア対応を行った長門明日香アシスタントコーチに大会の入り方について聞くと、昨晩、「きっと明日は固くなるよ』と選手たちに声をかけたという。しかし、「第1クォーターはそう見えることもありましたが、第2クォーター以降はほぐれて、うちらしいバスケが出せたと思います」と笑顔を見せた。

 インターハイ優勝を収めた8月からどの点を強化したかについては「ディフェンスです。特に留学生がいるチームとの対戦がカギになりますから、それについては練習をしてきました」とコメント。さらに冬までに一番伸びた選手を聞くと、「朝比奈」と即答。「プレーでも精神面でも成長しました」と力を込めた。

 そのやりとりを朝比奈にぶつけると、はにかんだ笑顔を見せた後、「インターハイで優勝はできたのですが、悔しい部分が大きくて。その悔しさを持って夏から留学生や大きな相手に対して攻めきること、ディフェンスが寄ってきても打開できる技術を身に着けてきました」と引き締まった表情を見せる。

 桜花学園は今回優勝すると24回目の大会制覇に加え、井上眞一コーチのインターハイ、国体を加えた高校タイトルで70勝目に到達する。朝比奈は「高校最後の大会なので、まず(井上)先生に恩返しをしたいという気持ちが大きいです。キャプテンとしてしっかりチームをまとめるように意識してきました。プレッシャーよりも、3年間すごく成長させてもらったので、プレーで恩返しして。結果的に70勝をプレゼントできたらなと思っています」と、エースとして、そしてリーダーとしてチームをけん引する決意を口にした。

 長門アシスタントコーチは「ケガ人や体調を崩している選手はおらず、コンディションは万全」と自信を見せる。女王に死角はあるのか⁉ 緒戦の戦いぶりからはそれを見出すことはできなかった。

文=入江美紀雄

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