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『B MY HERO!』
「全国の壁は高かったです。相手の3ポイントシュートの確率が高く素晴らしいと思いました」
「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の初日、京都両洋高校(京都府)と秋田北高校(秋田県)とのどちらも初出場のチームが対戦した。
試合は、序盤から終盤まで接戦の様相となったが、秋田北は第4クォーターで京都両洋に引き離され敗退。先に挙げた吉田美緒コーチの言葉通り、秋田北にとっては50パーセントの確率で京都両洋に3ポイントシュートを決められたことが痛かった…。
しかし、「私自身は全国を経験しているので感覚は分かるのですが、選手たちが全国を経験したということが一番大きいと思います。この経験を強みにしてまた頑張りたいです」と、吉田コーチは、全国を経験したことが何よりの収穫だと語る。
就任1年目でチームを全国へと導いた指揮官は、山形市立商業高校(山形県)で活躍した後、山形大学、そして実業団の山形銀行でプレー。高校時代は、2年生の時に準優勝とウインターカップのメインコートに立ったこともある。そして選手を引退後、自身の経験を指導者として伝えたいという思いから、今年度より秋田北で指揮を執ることとなった。ちなみに、山形市立商業で1つ上の学年だった大沼美琴(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)からは、試合前に激励のメッセージが送られてきたそうだ。
コーチとして再び戻ってきたウインターカップの舞台。「非常に感慨深いですね。全国出場が決まった時も、同級生や先輩方からメッセージいただいて。改めて全国の舞台というのは最高の舞台だなと思いました」と感想を語る。
それでも、指揮官と選手ともに試合後の取材で同じようにコメントしたことがある。
「最後まで自分たちのやるべきことをやり切るということはできたと思います」
2年生キャプテンの伊藤里桜は言う。「失敗した時に、今までだったら、『また失敗してしまったらどうしよう』と思っていたところがあったのですが、美緒先生になってからは、失敗しても『次のディフェンス守りきれば大丈夫』など、前向きに捉えることができるようになりました。すごく話しやすくて、細かく教えてくれる先生です」
主力に下級生も多く、来年度にも期待がかかるチームは、「指導者としてまだ未熟」という新米コーチとともに、「次は1回戦突破できるように」(伊藤)と、再び全国の舞台に戻ってくることを誓って体育館を後にした。
文=田島早苗