2023.08.16

アグレッシブなプレーを取り戻した馬場雄大「このままで終われるかという思いで」

W杯へ向けて「ここからが勝負」と引き締める馬場[写真]=伊藤大允
フリーライター

「前半の感じが納得いくものではなかったので、このままで終われるかという思いで、やるしかなかったです」

 8月15日、「SoftBank CUP 2023 東京大会」が有明アリーナで行われ、男子日本代表アンゴラ代表と対戦した。

 出だしこそ連続得点で好スタートを切った日本だが、その後は逆転を許すと、第2クォーターでは渡邊雄太(NBAフェニックス・サンズ)がケガにより離脱するアクシデントもあり、リズムに乗れないまま4点ビハインドで前半を終える。しかし、後半に入ってじりじりと追い上げると、第3クォーター終了間際に逆転に成功。第4クォーターでは一時1点差に詰め寄られた場面があったものの、最後はアンゴラを振り切り75ー65で勝利した。

 この逆転勝利に一役買ったのが馬場雄大だ。冒頭のコメントのように、前半は無得点に終わり、またミスを犯してしまうシーンもあったものの、後半に奮起。終わってみれば17分17秒の出場で10得点3アシストをマークした。

アンゴラ戦ではフリースロー10本中8本を決めた馬場[写真]=伊藤大允

 気持ちを切り替えて臨めたという後半、そのキッカケの一つとして、後半最初のフリースローがあったようで、「なんでこんな力入っているんだろうと思って笑っちゃったんです。そこから何か楽しくなっていったというか、いい意味でこっちから力が抜けたというか、あんまり考えても仕方ないなって思いました」と、馬場は言う。

 また、「前半は(相手の)プレッシャーに押されてなかなかペイントに侵入することができなかったのを見ていたので、そこは自分の強みだなと思い、積極的にペイントにアタックするようにしました」と、アンゴラ戦の後半では果敢にリングへアタックし、相手ファウルを誘った。そういった攻撃的なプレーは実に馬場らしいといえるだろう。

 それについて馬場はこう振り返る。「ファールをもらうところは冷静だったかなと思います。突っ込むだけでファウルをもらえないケースもあると思うのですが、ちゃんとファールをもらって終えるというところは一つの技術。そこは練習中からやっていたことなので出せて良かったです」

 とはいえ、「全然ダメです。全然納得いくものではないです」と言うように、馬場はここまでの強化試合では本調子とまではいかず。「20分前後でのプレータイムという中でまだ慣れないというか…。ただ、良ければもう少し使ってもらえると思うし、与えられたプレータイムでやるしかないので、あと2試合、ちゃんとやれるというのをヘッドコーチに見せて本戦につなげたいと思います」と、馬場は言う。

果敢にアタックする姿勢を見せた馬場[写真]=伊藤大允

 年下世代の勢いなど危機感を持って臨んでいたという馬場は、選手選考というサバイバルについて、「今まではメンバーに残るというよりは本大会をどう戦うかというメンタルの選手が多かったと思います。でも、(今回は)まず12人に残るというところで選手同士のやりあいだったり、いかに自分をパフォーマンスよく見せるかだったり、本当に経験したことない、ものすごい内容の濃い時間でした」という。だからこそ、「そこを勝ち残った12人なので、みんな何をしないといけないかを理解しているし、プライドもあると思います」とも力強く発した。

「なかなか納得いくプレーができなくて本当にこのままでいいのかということをずっと思いながらやっています。ひとまず12人に選んでもらったので、ここからが勝負だと思っています」と、先を見据えた馬場。

「経験もあるし、ディフェンスもフィジカルプレーもドライブもできる。今はあまり良くないけれど、3ポイントシュートも練習ではよく入っているんです。彼の力が必要だし大事。これから馬場はステップアップしますよ」と、トム・ホーバスヘッドコーチの馬場への信頼は変わらない。

 ワールドカップを約1週間後に控えた大事な国際強化試合。残り2試合はフランス(17日)、スロベニア(19日)との対戦が待っている。

「雄太もケガをしていますし、多分僕の力というのはもっと必要なってくると思うので、これから上げていけるように準備していきたいです」

 ワールドカップ本番に弾みをつけるためにも、馬場はヨーロッパの強豪たちとの試合に覚悟を持って臨む。

取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允

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