2023.09.03
8月27日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンドが行われ、グループEでは男子日本代表(FIBAランキング36位)がフィンランド代表(同24位)と沖縄アリーナで対戦した。
第1クォーターをリードして終えた日本だったが、第2クォーターでフィンランドの猛攻を受けると、第3クォーター残り2分46秒にはこの試合最大となる18点ものビハインドを背負う。それでも、そこから10点差に詰めて第4クォーターに望みをつなぐと、中盤に河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)のバスケットカウントで逆転に成功。最後まで一丸となって戦った日本は、98-88で歴史的な勝利をつかんだ。
「言葉にならないです。この場にいれて本当に幸せです」
目に涙を浮かべる馬場雄大は、「前回のワールドカップと東京オリンピックで本当に悔しい思いをして、やっと世界の国に対して1勝することができて、本当にチームでの勝利だと思ったので我慢できなかったです」と、素直な心境を明かした。
普段は毅然とした態度で力強い言葉を発する馬場が、珍しく感情を爆発させた。「言葉にならなかったですね。18点差で負けていて、『またうまくいかないな』と思ってて。最後に勝った瞬間、本当にアリーナやテレビなどで見てくれた皆さんのサポートがあってのことなので、僕たちだけの勝利じゃなく、日本一丸の勝利だと思います」。
最大18点差を跳ね返した要因については「もう勝ちたいという気持ちです」と明言。さらに、トム・ホーバスヘッドコーチが普段から口にする「自分たちを信じる」という言葉も力になったという。「信じられたからこそ40分間戦うことができたので、トムの言葉を心に刻んでやっていましたね」。
初戦のドイツ戦では15得点4リバウンド2アシストを挙げ、渡邊雄太(フェニックス・サンズ)とともに日本をけん引した馬場。しかし、この試合ではオフェンス面でのリズムをつかみ切れないでいた。それでも、「あまりリズムがつかめない中で、雄太もああいう状況だったので、ディフェンスなど何か力になれることはないかと思って奮い立たせました」と語ったとおり、ディフェンスやリバウンドで勝利に大きく貢献した。
また、この試合で躍動した河村と富永啓生の22歳コンビについて聞かれると、「もう最高です。チームを引っ張ってくれました」と言葉を詰まらせた。「彼らもいろいろ悩みながらやっていた分、本番でやってくれましたね」と2人の活躍を称えると、「若い選手だけでも勝てないだろうし、雄太だけでも勝てないだろうし、このチームだったからこそなので。彼らが勝ち取ったものなんですけど、この勝利を彼らが経験できて本当に良かったです」と、未来に向けたこの金星の重要性を説いた。
「負けるのは僕たちだけにしましょう。次の世代は勝つことが当たり前にしていく世代だと思うので、本当にここから歴史を作っていきたいと思います」
メディア対応の終盤には本来の“らしさ”を取り戻した馬場。力強い言葉を残した男は、1つの金星では満足せず、29日のオーストラリア戦に照準を合わせる。
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