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批判の裏側にある素顔…“河村の兄貴分”モラントが重傷事故に遭った少年に約600万円の支援

不本意なシーズンを過ごしているジャ・モラント[写真]=Getty Images

■不本意なシーズン…揺れる評価の中にあるモラントの現在地

 今シーズンも順風満帆とは言い難い。モラントは左ひじの尺側側副靱帯(UCL)損傷により、残りシーズンを全休することが発表された。出場はわずか20試合にとどまり、平均19.5得点、8.1アシスト、3.3リバウンド。チームも現在11位と、プレーイン圏外に沈んでいる。

 だが、そうした“見えやすいネガティブな印象”の外側で、背番号12はまったく別の行動を取っていた。

■命の危機に瀕した少年へ…静かに手を差し伸べたモラント

[写真]=Getty Images


 テネシー州ベルズ出身の11歳の少年、SJ・パイロンは交通事故に遭い、命の危機に瀕していた。家族は医療や災害救援を支援する世界最大級の個人向けクラウドファンディングプラットフォーム『GoFundMe』で寄付を呼びかけ。ページには、医療費だけでなく、看病のために仕事を離れざるを得ない家族を支える必要性が記され、「すべての親にとって最悪の悪夢」の中にいる現状が綴られていた。

 この募金ページを作成したケイティ・キャンベラによると、パイロンは地元グリズリーズとモラントの大ファンだという。グリズリーズは、事故と闘う少年を精神面からも支えるため、球団グッズをプレゼント。Tシャツや手紙に加え、モラントとザック・イディのサイン入り写真とみられるアイテムも同梱されており、キャンベラは球団の心遣いに最大限の感謝を示している。

 この投稿から数日後に動いたのが、モラントだった。家族が設定した当初の目標額は1万5000ドル(約240万円)。モラントはまず1万ドル(約160万円)を寄付し、その後さらに5000ドル(約80万円)を追加。自ら目標額を達成したうえで、自身のFacebookでも募金ページを共有し、最終的に総額は4万2000ドル(約670万円)まで積み上がった。

 家族はその後、寄せられた温かい支援への感謝を更新するとともに、パイロンの回復には今後も長い時間が必要であることを報告。継続的な医療ケアと費用支援を呼びかけている。

■“問題児”だけではない――見落とされてきたもう一つの顔

[写真]=Getty Images


 モラントは、この支援を自身のイメージ回復のために大々的に発信したわけではない。本人は前面に出ることなく、必要な金額を提供し、必要な形で拡散した。それは、自分を応援してくれる少年への自然な恩返しであり、スター選手としての模範的な行動といえる。

 近頃のモラントには、危うさや未熟さといったイメージが付きまとっている。だが今回の行動は、そうしたネガティブなラベルだけでは語れない一面の存在を示した。困っている人を見つけた時、静かに、そして迅速に手を差し伸べる。その姿は、これまで切り取られてきた人物像とは異なる輪郭を浮かび上がらせるものだった。

 日本のNBAファンにとっても、その人柄は決して見慣れないものではないだろう。河村勇輝(シカゴ・ブルズ)が“兄”と慕うグリズリーズのスターは、河村のブルズ初得点にも即座に反応。さらに、古巣とのアウェイゲームに帯同できなかった際、河村がInstagramで投稿したストーリーにも「お前のために飛行機送るよ」とコメントを残し、変わらぬ絆を示していた。

 モラントのシーズンは、不本意な形で幕を閉じた。グリズリーズも再編の途上にあり、先行きは依然として不透明だ。だが、パイロンへの支援におけるモラントは、コートを切り裂くスコアラーではなく、命の危機に最初に手を差し伸べた一人の支援者だった。そこには、世間が見落としがちな“もう一つの人格”が確かに存在している。

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