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八村塁が語るレイカーズの絆【後編】「一丸となれる」チームの強さ…不撓不屈の精神で準決勝へ

レイカーズにあって八村は貴重な戦力に [写真]=Getty Images
ロサンゼルス在住ライター

■ロッカールームに漂う穏やかな空気

 ロサンゼルス・レイカーズのロッカールームは、ほのぼのとしていた。

 6試合の遠征を5勝1敗で終え、約2週間ぶりにホームに戻った3月27日のブルックリン・ネッツ戦。この試合でも勝ったレイカーズは、直近12試合で11勝目となった。

 その4試合前に60得点を記録するなど、3月は絶好調だったルカ・ドンチッチが2試合連続で40点以上の41得点を挙げ、3スティールも奪った。同試合で右ふくらはぎの痛みから3試合ぶりに復帰し、ベンチから26分あまり出場した八村塁は、8得点3リバウンドを記録し、数字以上にディフェンスでも貢献していた。

レブロン、ドンチッチ、八村の間柄はほのぼのした空気を醸し出す [写真]=Getty Images

 第4クォーターにドンチッチの好ディフェンスで相手がこぼしたボールを八村が奪い取り、オースティン・リーブスの3ポイントシュートにつなげて9点差に広げた場面があった。そのときの積極的な姿勢について、八村に聞いた。だが八村は自分のことには触れず、「ルカもこうやってディフェンスを頑張っているので、その勢いで頑張ってほしいです」と上機嫌で答えた。

 すぐ側に座っていたドンチッチが、「ん?僕の名前を言った?」と振り返る。すると八村は、「レブロン(レブロン・ジェームズ)って言ったんだよ。レブロンがこの夏、日本に来るってね」と声のトーンを上げた。二人の向かい側に座っていたレブロンが「なに?」と顔を上げる。「ほら、日本のゴルフ用品の話をしていたよね?」と八村。その言葉を聞いてレブロンが「そうそう。日本製のアイアンセットを持っているんだ」と頬を緩めた。

 レブロンがこの夏、本当に日本に来るのかどうかは不明だが、そこには、まるで3兄弟が会話をしているかのような穏やかな空気が漂っていた。

 八村はレギュラーシーズン終了を前に、「僕らは一丸となってプレーできている。これを続けるだけだ」と誇らしげに話した。

 その言葉どおり、今シーズンのレイカーズには、選手たちが信じ合い、ともに頑張るきっかけとなった出来事や、それを証明する一幕がいくつかあった。

■「このチームの絆がどれほど深いかの証だ」

 左ヒザの手術のリハビリのためサマーリーグやプレシーズンゲームを逃し、開幕以降も戦列を離れていたルーキーのアドゥ・シエロが、11月15日のミルウォーキー・バックス戦でついにNBAデビューを果たし、初得点をフリースローで記録した直後にトレードマークの豪快なダンクで完全復帰を飾った。その試合後、ルーキーの記念となるボールをジャレッド・バンダービルトがロッカールームに持ち帰ろうとしたところ、レフリーに取り上げられ、バックスのスタッフに渡された。すると、それに気づいたチームメイトたちが次々と抗議し、最終的にバックスのスター、ヤニス・アデトクンボがスタッフからボールを取り上げてドンチッチに手渡し、無事にシエロに届いた。試合後、そのやり取りについてレイカーズの試合を中継するスペクトラムのインタビューで「自分のためとは知らなかった」と言ったシエロは、「このチームの絆がどれほど深く、互いに成功を願っているかの証だ」と感慨深げに話していた。

 シーズン終盤の例を挙げれば、レフリーへの不満をつい口や態度に出してしまい、テクニカルファウルが増加したドンチッチが出場停止処分の16個目に近づくと、ドンチッチがレフリーに文句を言いそうになるたびに、バンダービルトをはじめ他の選手がドンチッチよりも早くレフリーに説明を求めたり、テクニカルファウルを取られない範囲で文句を言ってドンチッチを守った。シーズンの終わりには選手たちが練習用ジャージを交換し合って練習した。練習後、ダルトン・コネクトのジャージを着て会見に現れたジャクソン・ヘイズは、「ワードローブによる友好だ」と笑みを浮かべた。今シーズンからレイカーズに加わったディアンドレ・エイトンは、試合を重ねるごとに成長し、プレーオフという舞台にたどり着いたチームの一員であることについて、「正直、とても楽しい。何と言ってもチームみんなからの援護があるからね」と、お互いに支え合える居心地の良さを強調した。

「82試合、チームとしてもいろんなことがあったけれど、僕らも戦い抜いて、(強豪が多く)大変なウェスタン・カンファレンスで第4シードという結果になった。良かった」。レギュラーシーズンを終え、八村は充実感を漂わせた。ジェイク・ラレイビアは、「僕らは、団結するという面で非常に良くできた。途中で曲がることはあったけれど、折れることはなかった」と紆余曲折をともに乗り越えてきたチームの強みは「一丸となれる」面だと誇らしげに言った。

サンダー戦に臨む八村 [写真]=Getty Images

 6日から始まったオクラホマシティ・サンダーとのウェスタン・カンファレンス準決勝第1戦では、第2クォーター途中、バンダービルトが小指の完全脱臼で酷く痛がりながら退場した。手の指だったため、もがきながらではあったが、自ら歩いてロッカールームに戻ったが、エイトンが心配そうな様子で横に並んで一緒に歩いた。

 スター選手とロールプレーヤー、そしてローテーション入りできず、ベンチを温めることが多い選手まで一つになったレイカーズ。昨シーズンの王者との対戦は、決して容易ではないが、1シーズンの間に強まった結束力を武器に不撓不屈の精神で臨む。

文=山脇明子

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