2026.06.25
シンガポールでアジア太平洋地域の高校生トーナメント「NBA Rising Stars Invitational 2026」が開幕した。本大会は、アジア太平洋地域の男子12チーム、女子12チームが出場するNBA主催の大会であり、次世代の才能を発掘・育成することを目的としている。日本からは厳しい国内予選を勝ち抜いた鳥取城北高校(男子)と精華女子高校の2校が出場し、アジアの強豪校としのぎを削る。
この大会に特別ゲストとして参加中の八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)は24日、初戦を迎える両校の選手たちと交流。世界最高峰の舞台で活躍する憧れの存在を前に緊張気味の高校生たちに対し、八村は「日本の代表として頑張ってください」と温かく力強いエールを送った。自身も日本の高校バスケットボール環境で育ち、そこから世界へ羽ばたいた先輩からの直接の言葉は、異国の地で戦う若い選手たちにとって何よりも心強いモチベーションとなったことだろう。
その後に行われた日本のメディア向けインタビューでは、八村の現在の心境から今後の展望まで、多岐にわたるテーマが語られた。
まずは、この日に行われた「NBAドラフト2026」についての話題だ。八村は自身がNBAキャリアをスタートさせた古巣であるワシントン・ウィザーズが、全体1位でAJ・ディバンツァを指名したことに言及。「チームがずっと苦しんでいたのを見ていたので、やっと1位指名を獲得して、上向きになれば。すごくよかったですね」と古巣の明るいニュースにエールを送った。

八村の古巣、ワシントンから全体1位指名を付けたAJ・ディバンツァ [写真]=Getty Images
また、今年のNBAファイナルでニューヨーク・ニックスが53年ぶりに優勝したことにも触れ、「自分でもやっぱり優勝したいなと思いましたね。僕もレイカーズで勝ちたいなっていうのはあった」と明言。「まずチームを優先して、そこから自分もベテランの域に入ってきているので、これからのキャリアのことも考えてやっていきたい」と、新シーズンに向けた思いを見せた。
レイカーズでの日々のなかで、チームメートであるレブロン・ジェームズから学んだプロ意識についても言及している。「時間の使い方が(すごい)。自分の中で小さい時間を見つけて、体のケアをするとか、バスケのことをやるとか、リフレッシュすることをやるとか。時間を無駄にしていないので。そこはやっぱり彼からいろいろ学びました」と、現役レジェンドのストイックな姿勢から大きな刺激を受けていることを明かした。
レイカーズでの自身の役割については、個人成績にとらわれない徹底した「チーム・ファースト」の哲学を語った。「結果的にはチームスポーツなので、チームが勝っていないと、自分がいくら良かろうが悪かろうが関係ない」と切り出し、「NBAでも負けているチームで個人技がすごい選手とかいると思うんですけど、そういう人たちは全然評価されていない。そこもわかったうえでのことなので、やっぱり自分なりに役割を見つけて、しっかりチームのためにやるっていうことが大事じゃないかなと思ってやってます」と成熟した考えを明かした。この献身的なメンタリティの背景には、昨シーズンまでレイカーズのアシスタントコーチを務めた恩師であるフィル・ハンディの存在があり、「やっぱり彼の影響も大きいんじゃないかなと思います」と感謝を口にした。

八村が日本のメディア向けに対応 [写真]=バスケットボールキング
さらに、国際舞台やNBAという厳しい世界で戦ううえでのマインドセットについても自身の経験を交えて考えを述べてくれた。アジアの選手に見られがちなシャイな部分について、「良い風に言うと『謙虚』なんですよね。そこは僕も一番大事にしている」としつつも、「コート内では絶対に僕は誰にも負けないと思ってやっているので、そのオンとオフのスイッチの切り替えが大事」と、謙虚さとアグレッシブさの絶妙なバランス感覚がトップレベルで生き残るための鍵であると述べた。
その後、日本代表の現状についても言及した。2月に就任した桶谷大ヘッドコーチについて、「日本の文化をわかっている人がやるのが一番日本のバスケのためになる。彼みたいに日本ですごい成績を出してくれているコーチが監督になり、プラスそのアシスタントコーチでNBAで長くやってきているようなコーチたちがやっているので、そのミックスがうまくいっているんじゃないかなと思います」と評価。特に、吉本泰輔(ダイス)アシスタントコーチの加入については、「彼がいろいろとNBAで経験したものを、この代表チームに注入できるっていうことは大きいです。細かい戦術などで差が出てくると思うので、そこをわかってくれるコーチが日本代表にいるっていうことは大きい」と、自身もゴンザガ大学在学時から交流のある指導者に期待を寄せている。
世界に挑む同胞である河村勇輝についても語ってくれた。記者の質問から、河村の肉体改造について問われると、「彼の体、やっぱり強さはあると思うんですけど、その体の使い方がうまいんじゃないかなと思いますね。彼なりの小さい体のなかで、大きな相手に体を寄せながらシュートを決めたり、レイアップに行ったり、パスをしたり。それは体の使い方をわかっていないと、強さだけではできないと思うので、そこは彼がすごい良いところじゃないかなと思います」と、フィジカル以上に卓越した身体操作の技術を高く評価した。
文=入江美紀雄
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