2025.09.08
優勝候補が次々と姿を消す波乱の展開となった「令和7年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ5)」男子。ここ数年で急成長を遂げた鳥取城北高校(鳥取県)が初優勝を飾り、名門・仙台大学附属明成高校(宮城県)の復活も話題を呼んだ。バスケットボールキングでは今大会を沸かせた5人の選手を独自に選出。それぞれの活躍を振り返る。
文=小沼克年

万全な体調ではない中、チームを初優勝に導いたアズカ [写真]=佐々木啓次
初優勝がかかった大一番で縦横無尽の活躍を見せたのがハロルド アズカ(3年)。決勝戦で記録した24得点11リバウンド4ブロックは、いずれも両チームを通じてゲームハイ。相手の出方次第で攻撃パターンを変えられる万能性が魅力で、決勝ではアウトサイドを主体に8本中5本の高確率で3ポイントを成功させた。
今大会はケガの影響によりベンチスタートとなり、フィリモン タムロン(1年)とタイムシェアをしながら計5試合を戦い抜いた。それでも、多大な影響力を持つアズカはムードメーカーとしてもチームを鼓舞。今年は新美鯉星(3年)とともにキャプテンを務めることで周りへの気配りも意識するようになり、コート内外で頼れる大黒柱へと日々成長を続けている。

大事な場面でシュートを決めた永田 [写真]=佐々木啓次
昨年のウインターカップで史上初の準優勝に輝き脚光を浴びた鳥取城北。その中で永田惺雅(3年)は同大会で15人のエントリーメンバーに入ることができなかった。しかし、今夏のインターハイでは全5試合でスタメン出場。準決勝で20得点、決勝戦でも12得点をマークしただけでなく、試合終盤に貴重な得点を挙げて初優勝に欠かせないピースとなった。
シューティングガードを主戦場とする永田の持ち味は、高いシュート力とバスケットIQ。大会前は「経験の少ない選手」(河上貴博コーチ)の1人という位置づけだったものの、「本当に期待以上の活躍をしてくれました。やっぱり彼の外のシュートが入ってくれると、チームにいいリズムが作れます」と河上コーチも顔をほころばせた。

“セハ”がペイントエリアを制圧 [写真]=佐々木啓次
オールラウンドにプレーする留学生の存在感が増している現代の高校バスケ界において、ニャン セハセダト(2年)は圧倒的なパワーを持つ重量級センターだ。撹上颯斗コーチは、「セハ」の呼び名でチームから慕われている彼についてこう語る。
「基本的にノリのいい人間です。得点を取ったりリバウンドを取ったりすると、どんどんノリノリになって調子を上げてくるような選手です」
準々決勝では203センチの高さと体重100キロを超える肉体を武器にペイントエリアを制圧。27得点17リバウンドの大暴れで優勝候補の福岡大学附属大濠高校(福岡県)を破る立役者の1人となった。一方で、プレーやメンタルに波がある点が課題。まだ2年生。準優勝の悔しさを糧に、もう一回り成長できるかに期待したい。

照井は全5試合で2ケタ得点をマーク [写真]=佐々木啓次
照井昇太朗(3年)は、八王子学園八王子が誇る3ポイントシューター。ディープスリーや素早いモーションからのシュートも難なく沈め、今大会は全5試合で2ケタ得点を挙げた。
準決勝では計6本の3ポイントを含む26得点をマーク。前半はシュートタッチに苦しんだが、「我々は照井のシュートが入らなければ勝てないとも思っていますので、使い続けて、当たってくれたのでよかったです」と撹上颯斗コーチも胸をなでおろした。
昨年までは十返翔里(現・東海大学1年)や平原侑真(現・中央大学1年)といったスコアラーに隠れがちだったことを認める照井。しかし、「今年は最上級生なので自分たちが引っ張らなければいけない」と、今後もチームの中心を担う活躍に注目が集まる。

小田嶌は仙台大明成の心臓というべき存在 [写真]=小沼克年
仙台大明成の中心は小田嶌秋斗、新井慶太、三浦悠太郎の3年生ガードトリオ。その中でも小田嶌はチームの心臓ともいえる存在感を放った。
抜群のクイックネスと得点力を誇る背番号4は、大会連覇を狙った東山高校(京都府)との準々決勝で30得点。ディフェンスではディフェンスでは相手の絶対的エースである佐藤凪(3年)の前に立ちはだかり、ベスト4進出の原動力となった。
「自分はリーダーシップがあるわけではないです」。未熟な部分を明かす小田嶌だが、プレーからは熱い闘志がにじみ出ており、それが勝負どころでのビッグプレーやチーム全体の士気を高めているように感じる。165センチの小さな巨人はチームに魂を注入し続け、ウインターカップではさらに大きな背中を見せてくれるに違いない。
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