2022.09.30
7シーズン目を迎えるB1は、昇格の2チームを加え、これまでで最多の24チームで繰り広げられる。地区の数も昨シーズンまでの「2」から3年ぶりに東・中・西の「3」へと戻る。
2021-22シーズン前の夏は、金丸晃輔がシーホース三河から島根スサノオマジックへ、辻直人が川崎ブレイブサンダースから広島ドラゴンフライズへ移籍するなど、実績と名のある選手たちが新天地を求める動きが、それまでにないほど目立った。
今年のオフは、昨年ほどスターたちの動きがあったわけではなかったにせよ、それでも多くの選手たちが新たなチームへと籍を変えた。
2021-22のベストファイブ選出のドウェイン・エバンスが琉球ゴールデンキングスから広島へ、屈指のオールラウンダーであるジュリアン・マブンガが富山グラウジーズから王者・宇都宮ブレックスへ移籍。金丸がわずか1年の島根在籍を経て三遠ネオフェニックスへ移ったことなどが、代表的な動きだった。
このオフは、選手の移籍もさることながら、コーチ体制の変更が目を引いた。もっとも大きな注目を集めたのは三遠で、千葉をリーグに1度、天皇杯を3度制覇に導いた大野篤史ヘッドコーチ以下、アシスタントコーチやその他スタッフの併せて9名という前例のない規模の大量移籍があった。
前・日本代表で稀代のシューターである金丸が入ったとはいえ、戦力的にまだ劣る三遠。優勝指揮官らの招へいですぐに強豪と伍して戦えるわけではないだろうが、2〜3年後にどうなっているかは、楽しみだ。
また今シーズンも東地区の“3強”となるであろう宇都宮ブレックス、アルバルク東京、千葉のすべてでHCの変更があったことも、興味深い。その中で最注目はやはり大野HCの後任となった千葉のジョン・パトリック氏だろう。
2000年代半ばまで日本リーグのボッシュやトヨタ自動車で指揮官を務め、後者ではリーグ制覇も経験しているパトリック氏は、ディフェンスから走るバスケットボールを強調している。日本を離れた後はドイツのプロリーグで指揮を執ってきたが、欧州仕込みの激しいディフェンスはあるいは大野氏の指導したチーム以上のものとなるかもしれない。
チーム数と地区数が増えたが、CS進出枠は8(各地区上位2チーム+ワイルドカード2チーム)で変わらないということは、端的に言えば椅子を争う戦いはより激しくなるということになる。
地区ごとで見た時に、もっとも密なCS争いとなりそうなのが、琉球、島根、名古屋、広島と戦力の厚いチームの多い西地区だ。同地区の優勝筆頭候補は、エバンスが抜けはしたものの、千葉Jからジョシュ・ダンカンを、三遠から松脇圭志とフィジカルにプレーする実力者を獲得している琉球で、再度のファイナル進出も現実的な目標となる。
ここ数年の、選手やコーチたちの移籍がより流動的になったことで、強豪とそれ以外のチーム力の差は徐々に縮まっているのは間違いない。
今夏、日本代表デビューを果たし力と自信をつけた河村勇輝、千葉Jでの2年を経て戻ってきた赤穂雷太ら勢いのある若手を抱える横浜ビー・コルセア―ズや、ベテランPG並里成を獲得した以外では主力に大きな選手移動がなかったという点で上積みが期待できる群馬クレインサンダーズなどは、CSの切符を狙える位置にさしかかっているように感じる。秋田ノーザンハピネッツや信州ブレイブウォリアーズなども、強敵を封じ込めることができる無骨かつ強度の高いディフェンス力で、躍進を果たす可能性を秘める。
群馬や広島などのようにB2からの昇格後、早い段階から高い力量を見せるチームもいる。その意味ではファイティングイーグルス名古屋や仙台89ERSがどこまで戦えるのかも、見ものだ。
他方、河村もそうだがこの夏、トム・ホーバスHC指揮下の日本代表活動でポテンシャルを開花させた吉井裕鷹(A東京)や井上宗一郎(SR渋谷)らが、これまでなかった出場時間をどれだけ伸ばしてくるかも興味深い。代表候補として合宿に招集されている川真田紘也(滋賀レイクス)も、同様だ。彼らのような、実力を秘めながら外国籍選手の控えとして出番が少なく、ゆえに無名だった若手が代表活動で得た技術と自信をコート上で披露できるか、注視したい。
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