2023.12.22

【ウインターカップ2023男子展望】初戦から好カードが目白押し…優勝候補の日本航空、開志国際は決勝までたどり着けるか

高校日本一を決める大会が12月23日開幕 [写真]=伊藤大允
フリーライター

 12月23日から30日にかけ、東京体育館をメイン会場に行われる「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。高校日本一を決める冬の風物詩の開幕を直前に控え、男子の部をブロックごとに展望する。

夏のビッグサプライズを冬にも再現へ

 まずは第1シードが位置する左上を見ていこう。このブロックを勝ち抜く最有力候補は日本航空高校(山梨県)。オルワペルミ ジェラマイアと大道一歩の2年コンビが攻撃を引っ張り、守備ではジェラマイアのブロックショットとゾーンディフェンスで相手を封じる。前回大会は初戦で姿を消しただけに、夏の王者はあくまでもチャレンジャーとして冬の頂点を目指す。

大道一歩がジェラマイアとともに日本航空の攻撃をけん引 [写真]=伊藤大允


 反対側にはインターハイベスト8の尽誠学園高校(香川県)が入った。夏に脚光を浴びた1年生ガードの金山颯に加え、オールラウンダーの宮崎忍(3年)にも注目。全国では高さで劣る分、前回大会を経験したアマダスンエセウィ縁一(2年)がどのような成長を遂げているかもポイントになる。

 初戦の注目カードは土浦日本大学高校(茨城県)vs県立能代科学技術高校(秋田県)だ。能代科学技術はインターハイで尽誠学園に敗れているため、リベンジの機会を伺っているはず。土浦日大も昨年から経験を積むメンバーが多く、どちらが堅守速攻を発揮して勝利を手繰り寄せるか。

 左下ブロックは、今夏の全国大会出場を逃した2校が両端に位置。県予選で福岡第一高校(福岡県2位)を破った福岡大学附属大濠高等校(同)が第4シードを獲得した。福大大濠は渡邊伶音、湧川裕斗、髙田将吾といった2年生主体だが、後輩たちを支える3年生のいぶし銀の活躍も光る。

 育英高校(兵庫県)は、県予選で夏ベスト8の報徳学園高校との激闘を制して本戦行きを決めた。こちらも「Jr.ウインターカップ2021-22」で日本一を経験した2年生たちが主力。6年ぶりの舞台で爪痕を残すには、最上級生の奮起が必要不可欠だ。

 初戦で激突する延岡学園高校(宮崎県)vs美濃加茂高校(岐阜県)、京都精華学園高校(京都府)vs帝京長岡高校(新潟県)の勝者もこのブロックを抜ける可能性がありそうだ。

 右上のブロックは、開志国際高校(新潟県)と藤枝明誠高校(静岡県)による準々決勝が濃厚か。

 前回大会で初優勝を飾った開志国際は第3シード。ダブルキャプテンの澤田竜馬、中島遙希(ともに3年)、エースの平良宗龍(2年)など昨年の優勝メンバーを揃え、戦力は十分。インターハイの悔しさを晴らすには、バックアップメンバーの成長も重要なポイントだ。

 昨年ベスト4の藤枝明誠も、注目スコアラーの赤間賢人(3年)をボヌ ロードプリンス チノンソ(2年)や小澤朋樹(3年)らがどうサポートするか。赤間自身も周りを生かす意識が高まったが、ここ一番では的確な状況判断が問われる。最後は、やはりエースとしての爆発力を見せてほしい。

 このブロックに位置するチームでは、赤間の他にもU19日本代表の小川瑛次郎(羽黒高校3年)、U18の石川晃希(県立宇都宮工業高等学校3年)と和田拓磨(北陸高校2年)のプレーも必見だ。

1回戦屈指の好カード、仙台大明成vs福岡第一

 最後は右下のブロック。福岡第一と仙台大学付属明成高校(宮城県)による一戦は、初戦の最注目カードだ。今年のインターハイと「U18日清食品トップリーグ2023」ではともに福岡第一に軍配。仙台大明成は名将・井手口孝コーチに挑む畠山俊樹コーチの手腕もカギを握るだろう。一方の福岡第一は、大ケガからの復帰が見込まれる崎濱秀斗、アピアパトリック眞(ともに3年)に注目が集まる。

仙台大明成と福岡第一のカードはインターハイ準々決勝の再戦でもある [写真]=伊藤大允


 インターハイ準優勝の東山は、2年ぶりの冬舞台。佐藤友(3年)、瀬川琉久(2年)、佐藤凪(1年)のスコアラーを擁して悲願の日本一を狙うが、初戦から一筋縄ではいかないだろう。2回戦で対戦する可能性が高い桜丘高校(愛知県)は、インターハイで福岡第一と接戦を繰り広げ、冬の県予選では中部大学第一高校を撃破。いきなりの好勝負を制するのは、果たしてどちらか。

 インターハイでは日本航空が大方の予想を見事に覆した。今回のウインターカップでも、一波乱ありそうだ。

文=小沼克年