2021.10.08
東京2020オリンピックでは、3x3女子日本代表がメダルこそ届かなかったものの5位と健闘。そして5人制では快進撃を続けて準優勝、銀メダルを獲得した。
日本だけでなく世界を熱狂させた日本代表選手たちにオリンピックのことや10月から始まるWリーグ、さらにはその先についての話を聞いた。
第11回はスモールフォワードの赤穂ひまわり(デンソーアイリス)。オリンピックでは得点、リバウンド、ディフェンスなどあらゆる面でチームの勝利に貢献した。今後に向けても期待の大きい23歳のオールラウンダーだ。
――改めて、オリンピックはどのような大会でしたか?
赤穂 今まで参加してきた大会の中でも別格、特別な大会でした。もともと特別な大会が、自国開催ということで、注目度の高さを肌で感じることができました。その中で日本の良いバスケットができ、本当に最高でした。
――大会を通しての手応えと今後の課題を教えてください。
赤穂 どれくらい自分のプレーを出せるのか、どれくらい通用するのかがわからないまま大会に入りましたが、みんなの3ポイントシュート入ったこともあり、効果的にドライブに行くことができました。機動力を使ったプレーなど得意としているプレーは通じたかなと思います。
課題は、機動力を封じられた時、それこそ(アメリカとの)決勝戦のようにアジャストとされて足が止まった時の打開策が必要だと感じました。シュートも流れで行けている時は良いのですが、悩みながら行くとブロックされましたし、そういったところも課題ですね。
――話に出たように、チャンスがあれば積極的にドライブに行っているように感じました。
赤穂 ドライブに行こうという強い気持ちはもともとありました。その中で、3ポイントシュートがたくさん入ったことによって(ディフェンスが)外に広がり、行きやすくなったというのはあります。行きやすいからドライブを仕掛けてみたら結構行けたことが自信になって、『どんどん行こう』というプラスの気持ちになりました。
――苦しい時間帯に点を決めていた印象です。『自分が』という意識があったのですか?
赤穂 そこまでは考えてはいなかったのですが、チームが苦しいということは、アウトサイドが守られている時なので、逆にドライブが行きやすくなっていたのだと思います。
――大会前にトム・ホーバスヘッドコーチが赤穂選手のことを「オリンピックでスーパースターになりそうな選手」とコメントしました。
赤穂 そう言ってもらうことは素直にうれしかったのですが…、トムさんがそう言っちゃったからには下手なプレーはできないなと思っていました。ちょっとプレッシャーでしたね(笑)
――でも期待通りの活躍だったと思いますが、自身に点数をつけると?
赤穂 オリンピックを通してとなると、…70点くらいですかね。
――残りの30点は先ほど挙げた課題のところですか?
赤穂 そうですね、そこで攻めきれなかったというのはあります。あとは大会の入りが個人的に良くなかったので…。緊張はしていなかったのですが、入りが悪かったかなと。それも、めちゃめちゃ悪いというわけではないのですが、少し硬かったと思います。ただ、大会では、徐々に調子は良くなっていきました。
――大会を通してリバウンドで強みを見せていました。
赤穂 そう言っていただけるのはうれしいです。リバウンドは頑張ろうと思っていたところだったので。
――体を張っていましたよね。
赤穂 はい。それがオフェンスにつながると考えていました。ディフェンスやリバウンドは、いつでも頑張らないといけないことだと思っています。
――日本代表のエースとしての階段を上っていると感じます。
赤穂 いや…。オリンピックで理想の選手像に少しは近づけたと思いますが、まだまだだと思うこともたくさんあったので、少しでも近づけるように頑張りたいです。
――自分自身が描く理想のプレーヤーとは?
赤穂 チームのみんなに「この選手がいれば大丈夫」と思ってもらえるような、安心してもらえるようなプレーヤーになりたいといつも思っています。
――強豪国の選手たちとマッチアップをして印象に残った選手はいますか?
赤穂 シンプルに一番うまかったのは、アメリカのブリアナ・スチュワート。それこそ理想系ですよね。すべてのプレーを一番高いレベルでできているので、彼女こそ、チームにいなくてはいけない存在だと思われているんだろうなと思います。
(2度対戦した)アメリカは、予選ラウンドの時と決勝とで戦い方が全く違っていたので、決勝で対戦できたことは、大きな経験になりました。
――「FIBA U19女子ワールドカップ2017」ではメダルまで後一歩の4位。その時の悔しさを少し返せましたか?
赤穂 U19の大会も負けて終わったんですよね…。3位決定戦決までいったのにメダルを取れなくてすごく悔しかったことを覚えています。当時、大会前にみんなで「目標を決めよう」となったのですが、先輩たちの最高順位が7位(町田瑠唯[富士通レッドウェーブ]らが出場)。それでちょっと控えめに「その成績を超えよう」ということでベスト4を目標にしたんです。結局、そうやって目標を立てたことでベスト4には入ったのですが、それ以上にはなれなかった。少しオーバーでも、目標は高くしなくてはいけないと感じました。今回はトムさんがずっと「金メダルを取る」と言い続けてくれたことが、銀メダル獲得につながったと思います。
――さて、10月中旬からはWリーグが開幕。デンソーの選手としての戦いが始まります。
赤穂 正直なところ、相手が海外の選手か、日本の選手かでは、プレースタイルは変わってくると思います。でも、試合経験もそうですが、日本代表活動で見てきた先輩方の練習への姿勢、自主練習もすごくしていますし、そういったバスケットへの向き合い方は勉強になったので参考にしていきたいです。結局、上手い人たちはそれだけの練習をしているんだなというのは分かりました。
――赤穂選手も練習はしているのでは?
赤穂 日本代表に行くと、みんなの練習量に度肝を抜かれて、全然足りないなと思います。もともと、代表に入った時からそう思っていたのですが、オリンピックに向けてや、オリンピック期間中などの向き合い方も勉強になりました。
――次はデンソーで金を目指すという強い思いがあるのではないですか?
赤穂 ありますね。結果を残すことは、すごく楽しいじゃないですか。それをチームでも経験したいですし、マリーナ・マルコヴィッチヘッドコーチ体制になって2年目なので、昨シーズンより良い結果を残さないといけないと強く感じています。
――女子バスケットが注目される中、ひまわり選手も見られる存在です。
赤穂 より注目度が上がっているのは分かっているので、下手なプレーはできないなと感じます。
――23歳で東京オリンピックを経験しました。3年後のパリやその次のロサンゼルスへの思いは?
赤穂 パリへはもう3年しかないんですよね。ただ、今はパリに対してそこまで意識はしていないです。所属チームで結果を残して、その時々でしっかりレベルアップできるように。それで3年後にパリ・オリンピックを迎えられたらいいなと思いますし、また“バスケ旋風”を巻き起こせるように頑張っていきたいです。
取材・文=田島早苗
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