2026.05.15
MLBのロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希投手が、2025年1月にドジャースと契約を結んだ前日、同じロサンゼルスを本拠地とするレイカーズのクリプトドットコム・アリーナを訪れた。そこには、デンバー・ナゲッツ戦前のシュート練習に励むレイカーズの八村塁の姿があった。佐々木はサイドラインから八村の練習を見ていた。練習を終えた八村は、ポスティングシステムでのドジャース移籍が決まった佐々木に歩み寄り、「こんにちは。おめでとうございます。頑張ってください。LAへようこそ」と声をかけ、握手を交わした。多くの報道陣に囲まれた2人は、記念撮影をリクエストされると、八村が佐々木に向かって、「こうやってLAを作るんです」と、両手の指を使って “LAポーズ” を伝授。八村は慣れた様子で、佐々木は不慣れな様子で、両手で “LA” を作り、笑顔でカメラに収まった。

ドジャース入団が決まった佐々木朗希とLAポーズ [写真]=Getty Images
この“LAポーズ”は、八村によく似合う。
レイカーズは、レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチ、そしてオースティン・リーブスがビッグスリーとして存在するチーム。だが、プレーオフに進出し勝ち上がるチームを作るためには、スター選手たちを支える優れたロールプレーヤーが不可欠だ。八村はその役割を深く理解している。
「僕が一番大事にしていることはコンシステンシー(一貫性)で、どんな試合でも、自分のやるべきことをしっかりやる。3ポイントを決めたり、リバウンドに行ったり、ディフェンスで体を張ったり、そういうことを毎試合やる。スターターであっても、そうでなくても、ボールが回ってこなくても、そこはいつも意識している」。そう語る八村は、今シーズンのレギュラーシーズンで出場した68試合のうち27試合は控えからの出場だったが、勝敗にかかわる重要な場面ではコートに立つことが多く、シーズン終盤、八村の貢献度について尋ねられたJJ・レディックヘッドコーチ(以下HC)は、「これが私の知っていることだ。塁がプレーした試合で私たちは42勝18敗で、これはシーズン57~58勝ペースに相当する。それで、すべてがわかると思う。塁がスペースを生み出す能力と彼のサイズは、このチームと私たちのローテーションにとって非常に重要だ」と笑みを浮かべた。
11月5日のサンアントニオ・スパーズ戦で、八村は前半に11点を挙げたものの、8分以上プレーした第3クォーターのシュート試投数はゼロで無得点だった。しかし、チームが第3クォーター終盤の12点差から5点差まで追い上げた第4クォーター残り5分15秒に八村は3ポイントシュートを決めて2点差とし、逆転につなげた。1点リードの残り1分40秒には、体を張ってビクター・ウェンバンヤマからチャージングを取り、「チームにインパクトを与えようと守備を頑張った」。このあとレイカーズはリードを4点に広げて接戦を制した。試合後、レディックHCは、「塁は二つの最大のプレーを決めた。ボー(八村を担当するボー・レベスクAC)と私はいつも冗談を言っている。塁は8分、時にそれは30分になり得るのだが、それだけの時間ボールに触れることがなかったあとでもワイドオープンの3ポイントを決めてしまう。彼はそういった非常に大きな3ポイントを(この試合で)決めた。そしてウェンビーからチャージングを取った」と感心したように話した。
八村の今シーズン一番のハイライトと言っていいのが、12月4日のトロント・ラプターズ戦。レブロン・ジェームズが自己通算連続2ケタ得点試合記録を犠牲にして八村に託したブザービーターでレイカーズが劇的な勝利を得た試合だ。八村はこの試合で「“12得点”の大ヒーロー」となった。
またこんなこともあった。3月18日に行われた敵地でのヒューストン・ロケッツ戦。ベンチスタートだった八村は第3クォーターまでフィールドゴールを2本試投し、1本3ポイントが成功しただけの3得点だった。接戦の第4クォーター残り5分39秒、レブロンがファストブレイクでシュートに持ち込んだ際、ファウルをされて右ヒジから落下し、ひどく痛がった。そこで、もともと交代のためにスコアラーズテーブルの前にいた八村がコートに入った。すると八村は、残り3分53秒に2点差から逆転の3ポイントを決め、リードが4点となった残り2分58秒にアルペレン・シェングンのレイアップをブロック。レイカーズの次の攻撃でダンクを決めて再び4点リードとした。このプレーを皮切りにレイカーズは点差を9点に広げて勝利し、八村は、「“ベンチから8得点”のヒーロー」となった。
八村は今シーズンのトレーニングキャンプ開始を前に、「僕は(レブロンやドンチッチら主力を)助けようとしている。僕にとって大事なことは、チーム(として戦う)ということであり、長期的な視点から見ても僕はもっとアグレッシブにならなければいけない。レブロンにとっては23年目で、ずっとやり続けられるわけではない。だから、そうでないとき、僕がステップアップして、しっかりカバーしなければならない」と言った。その心構えは、ビッグスリーを含め、次々と負傷した今シーズンのレイカーズを救い、プレーオフでドンチッチを欠き、ウェスタン・カンファレンス1回戦の最初の4試合ではリーブスも欠いたレイカーズがカンファレンス・セミファイナルまで勝ち進む要因となった。ロールプレーヤーと言われながらも、プレーオフ10試合でスターター出場し、1試合平均チーム最長の38.6分出場17.5得点4.0リバウンドを記録した。八村は、スーパースターがいるチームで最高のロールプレーヤーとなり、レイカーズを代表する選手の一人として輝いた。

このオフ、レブロンをはじめ、八村の動向も気になるところ [写真]=Getty Images
今シーズンも頂点には届かなかったが、レイカーズという優勝を真剣に目指すチームでの日々は、「毎日起きて、目標がある。その中でやっていくのはモチベーションになるし、シーズンも楽しくできている」と、選手としてやりがいに満ちあふれたものだった。
シーズンを終えて、「自分がフリーエージェントになることは知っているが、そのことは考えていなかった。このチームを愛しているし、この球団が好きだ。(レイカーズの経営者やスタッフの)人たちとも4年目で、ロブ(・ペリンカGM)をはじめ、(前)オーナーのジニー(・バス)、新オーナーのマーク(・ウォルター)、みんなに感謝している。この球団の経営の仕方もすべて気に入っている」と八村。「ただ、交渉するのは僕ではない」とは付け加えたが、レイカーズへの思いを口にした。
そしてペリンカGMは、契約については触れなかったものの、「トレードで獲得してから見てきたことは、塁は信頼と安心感を得るとコート上でパフォーマンスが飛躍的に上がるということ。信頼と安心感により、彼は最高の自分を発揮できる。そういった要素を維持することはとても重要だ」と、八村がどのような環境で伸びるかを見抜いている。
「自分でもそういうところ(強いチーム)でやりたいというのはいつもあるし、そういうところで活躍したいと思っている。レイカーズに来てからずっとプレーオフに出ている。何回かチャンスはあったが、ここまでできたこともそうだし、これからもどんどんそういう目標に向かって頑張っていきたい」と八村は述べた。
“看板スターのような活躍をするロールプレーヤー”八村は、来シーズンも“LAポーズ”を見せるのか。このオフの動向をしっかりと見守りたい。
文=山脇明子
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