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レイカーズはなぜ育成重視へ向かうのか…ペリンカGMが語った八村塁と厳しいお財布事情

八村を含む多くの選手との契約交渉タイミングを迎えたレイカーズ[写真]=Getty Images

 ロサンゼルス・レイカーズにとって、“難しい夏”が始まろうとしている。なぜなら、今シーズンを共に戦った主力選手の多くが契約満了、あるいはオプション判断のタイミングを迎え、球団はこのオフに複数の重要な契約交渉をまとめなければならないからだ。

 来シーズン以降も完全な契約下にある主力は、ルカ・ドンチッチを中心とした限られた顔ぶれのみ。レブロン・ジェームズ八村塁ルーク・ケナードジャクソン・ヘイズは完全FAとなり、オースティン・リーブスマーカス・スマートディアンドレ・エイトンはプレーヤーオプションを保有している。いずれもFAを選択する可能性が取り沙汰されており、レイカーズは大規模なロスター再編と向き合うことになる。

 フロントを率いるロブ・ペリンカGMは、シーズン終了後の球団会見で、今夏の補強方針と、現行CBA(NBA団体交渉協約)の下で勝ち続けるために必要な条件について語っている。

 ペリンカGMは、その鍵が“選手育成”にあると考えており、その代表例として八村の名前を挙げた。

「このサラリーキャップ制度の中で最終的に成功を収めるためには、選手育成が非常に大きな柱になると考えています。我々はそれを目の当たりにしてきました。たとえば八村です。トレードで獲得した時の彼と、今の彼は違う選手です。それはJJ(・レディックHC)の育成と、スタッフの仕事の成果です。アドゥ・ティエロも同様です。今季は健康面の課題がありましたが、監督はプレーオフでも彼を起用するほど信頼しており、実際に大事なプレーを見せてくれました」

八村とともに成長株として名前が挙がったティエロ[写真]=Getty Images


 現在のサラリーキャップ制度は、“スターを集めれば勝てる”という古典的な発想に大きな制約をかけている。チーム総年俸が各種エプロン(制限ライン)を超えれば、球団は例外条項の使用やトレード手段に制限を受ける。そのため、外部から高額戦力を買い続けるチーム作りは難しくなり、育成した安価な戦力をどれだけ抱えられるかが成功の鍵を握る。実際、オクラホマシティ・サンダーやサンアントニオ・スパーズは育成選手の成長がチーム全体の完成度を押し上げており、クリーブランド・キャバリアーズでもサム・メリルやディーン・ウェイドの成長がロスターの厚みにつながっている。

 レイカーズは今後、ドンチッチを中心にチームを作っていく方針をたびたび明言している。また、球団がドンチッチの“タイムライン”を重視している以上、同世代のオースティン・リーブスを軸の一人として引き続き置く可能性は高い。そのリーブスは、現行契約と市場価値の間に大きな乖離があると見られており、今夏にFAを選ぶ可能性が有力視されている。仮に再契約となれば、大幅な昇給は避けられず、年俸は4000万ドル(約63億6000万円)前後まで膨らむとの見方もある。

 ただし、リーブスとの大型契約はレイカーズの財政的柔軟性を大きく削る。仮に4000万ドル規模で再契約した場合、ドンチッチとリーブスの2人だけでサラリーキャップの約55パーセントを占めることになる。さらに、レイカーズはレブロン・ジェームズにも相応の敬意を払う必要がある。スティーブン・ノー記者が開発した『NBA Salary Model』によれば、レブロンの2026-27シーズンの推定年俸は2320万ドル(約36億8900万円)。だが、キングに一般的な加齢による価値低下の法則を当てはめるのはナンセンスとの見解も強く、実際の交渉では、より高い条件提示が必要になる可能性がある。また、プレーオフで強い印象を残した八村についても、球団は当然ながら引き留めを図るはずだが、推定年俸は2000万ドル(約31億8000万円)と決して安くはない。

ドンチッチの同世代であるリーブスの動向に注目が集まる[写真]=Getty Images


 つまり、ペリンカGMが「選手育成が重要」と言い切った背景には、来季もまったく同じロスターを維持するのが現実的ではない、という事情が透けて見える。同氏はこの夏、ロスターの柔軟性と多様な選択肢を生かしながら、同時に若手の発掘と育成にも力を注ぐ姿勢を示している。

「我々は若い才能を見つけ、育て続けなければなりません。オーナー陣も、そこに大きな期待を寄せています。兄弟組織であるロサンゼルス・ドジャースも選手育成に投資し、成功を収めてきました。私とJJは今後、フロントオフィスのインフラや、選手育成に必要なコーチングスタッフに十分なリソースがあるかを話し合っていくことになります。そして我々には、より良くなるためにあらゆる道を検討できる選択肢があります。我々が目指すロスターの雛形は、ルカと、彼が必要とするものを中心に組み立てられていくことになるでしょう」

 ライバル球団の成長を受け、レイカーズはスター主導のチーム作りから、育成を織り込んだ持続可能な編成へと軸足を移そうとしている。新生レイカーズの土台を築くうえで、この夏の一挙手一投足はすべて重大な決断になる。

文=Meiji

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