2026.05.31
NBA2025-26シーズンが、まもなく幕を閉じる。試合がなくなる虚無感は、錯綜するトレードのうわさがいくらか埋めてくれる。とはいえ、この夏に限っては、多くの視線がただ一点に注がれているはずだ。そう、レブロン・ジェームズの去就である。
米紙『サンフランシスコ・スタンダード』のティム・カワカミ記者は、長らくうわさされてきたレブロンのゴールデンステイト・ウォリアーズ加入が、これまで以上に現実味を帯びてきたと論じている。
ロサンゼルス・レイカーズとの契約を終えるレブロンは、この夏フリーエージェントになる見通しだ。選択肢は、レイカーズとの再契約、移籍、あるいは引退。ただ、今シーズンのパフォーマンスやシーズン後の言動、そして“ファラウェルツアー”の空気がほとんどなかったことを踏まえれば、引退の可能性は極めて低い。現時点の本線は、主力離脱もあって不完全燃焼に終わった今シーズンの雪辱を期し、レイカーズと再契約するルートだろう。
ただし、ルカ・ドンチッチ中心へ軸足を移したレイカーズが、レブロンを満足させる条件を提示できるかは不透明だ。今オフにはオースティン・リーブスがFA市場の注目株とみられ、4000万ドル(約63億9600万円)前後の大型契約に到達する可能性がある。そうなれば、ドンチッチとの2人でサラリーの大半を占めることになり、補強余力は大きく削られる。加えて、球団が今後ドンチッチ最優先でロスターを組む方針であることを考えれば、レブロンにどこまでリソースを割けるかは見通しづらい。
物語性を優先するなら、故郷クリーブランドでキャリアを終えるシナリオも魅力的だ。だが、ドノバン・ミッチェル、エバン・モブリー、ジャレット・アレンら高額契約を抱えるクリーブランド・キャバリアーズは、金額面で大きな制約がある。仮に、ジェームズ・ハーデンが契約金で折り合った場合でも、ファーストエプロンを下回るには至らないはずだ。
こうした現実を踏まえ、カワカミ記者はウォリアーズを「極めて実務的な解決策になり得る」と見る。ロスターと総年俸を整理できれば、ウォリアーズはレブロンに1510万ドル(約24億1400万円)規模の非課税ミッドレベル例外を提示できる可能性があるという。直近年俸と比べれば大幅減ではあるが、他の有力候補よりは現実的な額だ。しかもこの形なら、主力や指名権を大量放出する必要もない。
さらに重要なのは、ウォリアーズが“再建”ではなく“継続”を選んでいることだ。スティーブ・カー ヘッドコーチ(HC)と2年の新契約を結び、ステフィン・カリーとドレイモンド・グリーンを軸に、ジミー・バトラーの復帰も見込まれる以上、球団としては正真正銘の“ラストダンス”に挑む構えにある。ロッタリー改革で将来の1巡目指名権の価値が高まるなか、再建期に備えて指名権を温存したいウォリアーズにとって、主力流出なしで獲得しうるレブロンは、短期決戦型の補強として理にかなう。
レブロンにとっても、ウォリアーズは“ゼロから築くチーム”ではない。カリーとは互いに敬意を払い合う関係にあり、パリオリンピックではアメリカ代表として共闘した。チームを率いたのはカーHCであり、グリーンとも長年親しい間柄。共闘の土壌はすでに整っている。

パリ五輪でレブロンとカリーは共闘済み [写真]=Getty Images

パリ五輪ではカーHCのもと、カリーとともに金メダルを目指した [写真]=Getty Images
ウォリアーズから見れば、レブロン加入はカリーの晩年にもう一度優勝を狙うための究極の短期補強となる。レブロン側から見ても、最高級のスペーシングと高いバスケットボールIQを備えた環境でプレーでき、家族の拠点があるロサンゼルスから地理的にも遠くない。
もっとも、カワカミ記者の第1候補も依然としてレイカーズ再契約だ。ただ、その道が崩れたとき、ウォリアーズがショートリストの最上位に浮上しても不思議はないというのが同記者の見立てである。
コービー・ブライアントのレガシーを継いだあと、今度はカリーに見送られながらコートを去る。文字にすると、ウォリアーズ移籍はレブロンが思い描いても不思議ではない“最後の物語”にも見えてくる。
レブロンの“The Last Decision”は、もう目前まで迫っている。
文=Meiji
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