2025.06.29

榎木璃旺がメディア対応…敗戦から学び得た成長を糧に福大大濠は夏の頂点を見据える

激しいディフェンスに挑んだ福大大濠の榎木(左) [写真]=NBAライジングスターズ・インビテーショナル
バスケットボールキング編集部

 6月28日、シンガポールで開催されている「NBAライジングスターズ・インビテーショナル」は決勝トーナメントに入り、男子準決勝の4強が激突。第2試合には、福岡大学附属大濠高校(日本)が登場し、韓国の強豪・龍山(ヨンサン)高校と対戦した。

 福大大濠は出だしこそ、龍山のオフェンスに手を焼きリードを奪われるが、第2クォーターから主導権を握る展開で、第3クォーター終了時点で50−49とリードを奪った。しかし最終第4クォーター、攻防において相手の強度に押され、65−75で逆転負けを喫し、惜しくも決勝進出はならなかった。

 この試合でチーム最多の17得点を挙げたキャプテンの榎木璃旺が試合後、報道陣の取材に応じた。榎木は敗因を冷静に分析しながらも、今大会で得た収穫を前向きに語った。

「第1クォーターの入りで受け身になってしまい、コミュニケーションが疎かになりました。そこを突かれて最初に8−0のランをされてしまいました。ただ、片峯先生(聡太コーチ)の指示で立て直すことはできました。第4クォーターは集中が切れてしまった時間帯に再び8連続失点を許してしまって、あの場面が試合を分けたと思います」

 榎木自身は試合を通じてアグレッシブな姿勢を貫いた。とりわけゾーンディフェンスへの対応については、あらかじめ準備した戦術を意識して臨んでいたという。

「相手がゾーンで来ると予想していたので、“空いたら全部打つ”くらいの気持ちで臨みました。序盤は入ったんですけど、大事な場面で決めきれなかったのは自分の実力不足だと痛感しています」

 この大会で榎木が初めて直面したディフェンスにも、学びがあった。

「これまでに経験したことのない嫌なゾーンディフェンスでした。逆にどこに穴があるかを探しながらプレーでしたが、うまく対応できた場面でいい攻撃ができたと思ったんですが、すぐにそこを潰されてしまって…。次の一手が出せなかったのが残念でした」

 龍山の守備には中央を固める長身選手もおり、ペイントエリアでの勝負も容易ではなかった。そんな中でも榎木は、同級生でともに先発を務めた栗原咲太郎や村上敬之丞の奮闘を高く評価した。

「栗原は自分がキックアウトしたボールは全部打てと伝えていて、思いきりよくプレーしてくれました。村上は自分とツーガードを組んでいて、“思いきりやってこい”と声をかけていました。2人とも本当に頼もしくて、助けられました」

 ケガや主力不在の中でも、福大大濠は持ち前のチームバスケットでここまで勝ち進んできた。榎木はこの大会を通じて、自分たちが見せた「意地」に誇りを持っている。

「3年生として、主力がいない中でも言い訳せず、意地を見せて戦えた大会だったと思います。負けはしましたけど、得た経験は大きいです」

 初めて開催された国際大会での手応えと課題を持ち帰り、福大大濠はこの夏、再び国内の大舞台・インターハイへと挑むことになる。厳しい状況だったからこそ、選手個々がレベルアップし、それがチーム力のアップにつながえる。だからこそ、フルメンバーがそろったときの福大大濠はさらに危険な存在となるだろう。

文=入江美紀雄

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