【全文】川淵三郎氏が八村塁のJBA方針＆日本代表HC人事批判に言及…来日したFIBA理事もコメント

　1月21日、日本バスケットボール界の改革を目指して2014年に設立された『JAPAN 2024 TASK FORCE（タスクフォース）』が会見を開き、Bリーグの創設など10年間にわたる活動の終了を発表。タスクフォースのチェアマンを務めてきた川淵三郎氏（日本サッカー協会最高顧問）と、コーチェアマンを務めてきたインゴ・ヴァイス氏（FIBA財務担当理事）が、会見後の質疑応答にて、昨秋から物議をかもしていた八村塁（NBAロサンゼルス・レイカーズ）の発言についてコメントした。

　男子日本代表を巡っては、昨年11月14日（現地時間13日）に、パリ2024オリンピック日本代表だった八村が“JBAの方針や体制”と“トム・ホーバスHCの続投”について、公の場で苦言を呈し話題に。20日にJBAの渡邊信治事務総長が一連の騒動について説明したが、同25日には八村が再びJBAを批判する趣旨のコメント。同28日に現役日本代表選手でもある渡邊雄太（千葉ジェッツ）が一連の騒動の裏側を語り、自身も事態の収束に動いていることを明かしていた。

　その後、JBAは三屋裕子会長が公式サイト上で「今一度、組織内外におけるコミュニケーション、情報発信、連携の在り方について見直しと改善を進めてまいります」と声明文を掲載。代理人も含めた八村サイドとコミュニケーションをとるため、職員を派遣することも明かされていた。

　今回の会見内でかわされた八村に関する一問一答は以下のとおり。

――タスクフォースの問題とは関係ないのかもしれないですけど、NBAの八村選手が昨年にJBAの日本代表の強化方針に苦言を呈したり、トム・ホーバスHC続投にも同じく苦言を呈しました。日本代表の今後や強化という面で、チェアマンの受け止めをお答えいただけますでしょうか。

川淵　八村選手は2016年9月のBリーグオープニングゲームのときに、VIPルームに一人で来て、僕の所まで歩いて来て、『川淵さん、Bリーグを作っていただいてありがとうございました』と言いに来た。高校を出て大学に入った年だからね。こんな若い選手がこんなことを言うのかと感心した思いがあって、けっこう八村選手をリスペクトしていたんだよね。

今回の問題に関しては、やっぱりトム・ホーバスが男子を指導したこともない、世界のバスケットを知らないと、全面的に彼の能力を否定するというのは、今の選手の気質が僕らの時代からまるで変わっているとしても、そういう人間性というか、バスケットボールに対する指導性をないがしろにするような話をしていいと思っているのかというのは不思議でしょうがない。そして何よりも、日本バスケットボール協会の理事会で決まったヘッドコーチが駄目だというのは、協会の決定はもう全然無視して何を言ってもいいんだと思っているのかなと、そういうふうに思いました。

だから、これははっきり言って許されるものではないというのが僕の考え方で、あれが出たあと多くの人が取材に来ましたけど、言葉足らずで色々と批判されるのも嫌だからと一切コメントしませんでした。今日初めてするんですけど、やっぱり選手の発言としては、最低限不満とか何か言うのは本当に個人の自由ですけど、協会そのものを、そしてヘッドコーチそのものを批判するというのは、それがプレーヤーズファーストだとかとは何にも関係ない話で。これは僕としては断固許せない話です。協会とは関係なく、これは僕個人の意見ですよ。

――三屋会長にもお願いしたいのですが、然るべき人間をアメリカに派遣してコミュニケーションをとる方針を示されていましたけど、その後の経緯はいかがでしょうか。

三屋　これはずっと言っていますけど、シーズン中はご本人と連絡をしないという取り決めがありますので。いまエージェントの方とは話はしております。

――（会見司会者から）インゴ（・ヴァイス）コーチェアマンから何かご発言があればどうぞ。

ヴァイス　ちょっと私の方からも補足させていただきます。気になる事案なので、いくつかここではっきりと申し上げたい点がございます。私は中立的な立場でありまして、40年、50年と、選手としてコーチとして、そして役員としてバスケットボールに従事しております。ドイツのみならず世界中の色々なヘッドコーチと今までお会いしてきておりますけども、もしトムほどの人材を獲得できるのであれば、私だったら即契約します。トムは素晴らしいコーチで、スポーツ的な観点からも良い成績を残して素晴らしい活動をしてきました。『ヘッドコーチ』の役割というのはコーチングをし、トレーニングをし、そして選手の強化をするという3点です。選手が『プレーヤー』といわれているのは、プレーするからプレーヤーです。プレーヤーはあくまでも素晴らしいプレーを見せるのであって、それ以上でも以下でもありません。ありがとうございました。