1時間前

「彼らがいると別のチーム」…八村塁と河村勇輝がもたらした日本代表の意識改革

Window4に参戦した八村と河村は勝利以外にも多くのものを代表チームにもたらした [写真]=伊藤大允
ロサンゼルス在住ライター

 八村塁河村勇輝。2024年のパリオリンピック以来となる2人の加入は、日本代表チームの戦力を上げただけでなく、チームの意識を大きく変えた。

「もちろんです」と言う言葉を2度繰り返したのは、馬場雄大。経験豊富なベテランとして、渡邊雄太らとともに、攻守に、そして精神的に日本代表を引っ張ってきた。

「彼らがいてくれるのといないのでは、本当に別のチーム」と馬場はコメント [写真]=伊藤大允

 2023年のワールドカップでオリンピックへの切符を手に入れたとき、彼らが流した涙には、自分たちがチームを先導しなければならないと言うプレッシャーと緊迫感が、どれほど厳しいものであったかを思わせた。

 そんな馬場に、八村と河村の存在は、自らにかかる重荷を軽減してくれているのかと尋ねたときの回答だった。

「彼らがいてくれるのといないのでは、本当に別のチーム。サウジアラビア戦でも見せてくれましたけど(質問はカタール戦前日)、本当に経験の差が試合中にも出ていたと言うのは、誰が見てもはっきりわかるところ。僕たちも彼らをメインで作っていくことに全力を注いでます」と話した。

2試合で59点をたたき出した八村 [写真]=伊藤大允

河村やキャプテンとしてチームの熟成にも尽力した [写真]=伊藤大允

 世界を相手に健闘したものの、歴史的「1勝」と言う目標をかなえることができず、パリオリンピックを終えて2年。その間、八村はレブロン・ジェームズを筆頭にスター選手がそろう名門ロサンゼルス・レイカーズで、最高のロールプレーヤーとしてチームを支えた。“ゴー・トゥー・ガイ(大黒柱)”ではなくても、チームにとって不可欠な存在となり、勝利に貢献することが、どれほど意味のあることかを自らの体験で実感した。

 そして河村は、チームのエースとして十分な出場時間を与えられ、試合の行方を左右する場面でプレーに絡み、大事な1本を任されると言う、選手として最高の立場を自ら放棄し、時には「コーチの判断により」不出場に終わることもあるNBAに挑戦する道を選んだ。男子日本代表桶谷大ヘッドコーチは「やっぱりチャレンジしないとうまくなっていかない」と話すが、コーチから認められることが当たり前の場所から、そうではない高みを目指すなかで、河村はさらに強靭な体をつくり、守備力を向上させ、シュート力を磨き、さらにコミュニケーション力を高めた。

 余談だが、桶谷HCが、個人的に河村に声掛けをしたかどうかを聞かれて、「体重何キロ?っていう話はしました。いやいや、すごい体が大きくなったように見えたので、今体重何キロあるの?って話をして。こんな話、いります?」と笑った場面があったが、桶谷HCにとっても実際に見た河村の体は、それほどに変わっていたのだろう。

 馬場は、「何がすごいかって言うと、塁がすごく協調性があると言うか、すごくチームファーストで考えてくれているところ。NBA選手だったり、普段ハイレベルで経験している選手と言うのは、独走しようと思ったらできるわけじゃないですか。自分だけのことを考えてと言うことになると思うんですけど、本当に塁は、勇輝もそうですけど、コミュニケーションを取りながらチームを救っていくと言う意識がある」と言う。

 特に八村に関しては、パリオリンピックでは「ゴールに関しては、少し個々で頑張るよっていう姿勢は見えたかなと言うふうに思いますが、今回はよりチームという意識の下でやれているからこそ、ここまでのフィット感が生まれていると思います」と話した。また富永啓生は、「この2試合、シュートのところではそんなに入っていなかったかもしれませんが、やっぱり彼(河村)がコートにいるときの存在感というのは、計り知れないものがある。その辺りはすごい」と河村の存在に感謝した。

 2人が加わった日本代表は、「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア予選」 Window4のサウジアラビア戦を106-78、カタール戦を123-70の大差で制した。

「2人が来て、メンタルの意識というのは間違いなく変わっている。もちろんバスケットのレベルも上がっているなかで、メンタルという部分でもレベルアップしている」と話す富永は、「チームとしての意識の部分というか、絶対に負けてはいけない、なんなら接戦もしてはいけないと言うようなメンタリティというのが、今、代表の間で築かれている。それなりのプレッシャーがあるなかでも、自分たちはできると信じています」と断言した。

富永は精神面での成長に手ごたえを感じた [写真]=伊藤大允

 八村は、「このチームにはまだまだ伸びしろがある」とチームの可能性を信じ、河村は、「ポイントガードとして引き出しがたくさんあるというのは、やっていてすごく楽しい」とチームの選択肢の多さをここまでの成長面として挙げた。

 NBAシーズンに突入する八村と河村は、あと4試合の予選には出場できない。だが、勝利の精神をさらに強めた日本が恐れるものなど、何一つないのである。

文=山脇明子

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