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大好きな沖縄を離れる「チョームズカシイ」移籍の決断…ヴィック・ローが茨城で新たな挑戦

群馬とのプレシーズンゲームに出場した茨城のロー[写真提供]=茨城ロボッツ
フリーライター

■なぜ「茨城」を選んだのか

  今シーズンの茨城ロボッツはどんな景色を見ることになるのか。その鍵を握るのは、間違いなくこの男だろう。

 ヴィック・ロー。2022-23シーズンから千葉ジェッツ琉球ゴールデンキングスを渡り歩いた30歳は、今オフに移籍を決断。強豪クラブの中心選手としてプレーしてきた彼が、なぜ茨城を選んだのか。9月5日に行われた群馬クレインサンダーズとのプレシーズンマッチ後に会見に臨んだローは、コーヒーを片手に新天地への思いを語った。

「茨城を選んだ理由は、堀さん(堀義人オーナー)や落さん(落慶久ゼネラルマネージャー)のビジョンに共感したこと、それと(ポール・)ヘナレヘッドコーチとは元々知り合いで関係性がありました。そういった面を踏まえて茨城で新たなチャレンジをしたいと思ったからです。自分は今までジェッツ、キングスという非常に優れたクラブでプレーをしてきました。でも、茨城ロボッツは過去の成績を見ると強豪クラブとは言えないと思います。その中で、今シーズンは新しい歴史を作る、歴史を変えようとするタイミングでしたので、自分としてもそのチャレンジにすごく魅力を感じました」

[写真提供]=茨城ロボッツ


 新たなチャレンジの場として選んだ茨城は、決して華やかな実績を誇るクラブではない。でもそこには、かつての存続の危機から這い上がってきた確かな歴史と、『2031年までに日本一』というはっきりとした夢が描かれていた。

 決断に至るまではさまざまな思いが交錯した。沖縄を離れ、移籍を決めるまでの日々をローに尋ねると、「チョームズカシイ」と日本語で一言。そして一呼吸置き、丁寧に言葉を紡いだ。

「キングスも沖縄の人々も大好きですし、自分が沖縄で経験したすべての時間が本当に素晴らしかった。沖縄を離れるのは非常に苦しい、難しい決断でしたが、バスケットボールというスポーツも、このリーグ自体もどんどん変化していくものです。ずっと同じチームでプレーし続けることはなかなか難しいことですし、変化はつきものだと思っています。難しい決断ではありましたけど、今は前を向いて、茨城というクラブ、茨城という土地で自分に何ができるのかを考えています」

■「ロボッツのイメージを変えたい」

 高い得点能力と勝負強さを兼ね備えるスコアラーで、守備でもポジションを問わず対応できる。さらには強烈なリーダーシップで勝利へ導く背番号4は、間違いなく“新生ロボッツ”の象徴となるだろう。

 ロー以外にも吉井裕鷹渡邉飛勇といった日本代表経験者を獲得した今シーズン、茨城への注目度は確実に高まっている。だが、ローは至って冷静だ。現時点で見据えるのは、優勝でも日本一でもない。

「まずは昨シーズンの勝率を上回ることが重要です。それが達成できたら次はプレーオフに進出することを目標にしていきたい。個人的には、今まで周りから見られていた茨城ロボッツのイメージを変えたいと思っています。例えば『今週末ロボッツと試合があるから、ものすごく大変な週になるぞ』と思われるような、今まで以上にリスペクトされるチームにしていきたいです」

[写真提供]=茨城ロボッツ


 日本でプレーして以降、4年連続でBリーグファイナルに進出しながらも優勝には届いていない。その重みを知るローだからこそ言葉は慎重だった。

「沖縄にいた時はすでにキングスが強いクラブでしたので、自分がその中にどうフィットしていくかを模索した3年間でした。すごくいい経験になりましたし、とてもいい時間を過ごせました。茨城では新しい歴史を作っていく、また違ったチャレンジ、経験ができると思っています」

 熱心に語るうちに、大好きなコーヒーはいつの間にか空になっていた。茨城とともに紡ぐヴィック・ローの新たなストーリーが、静かに幕を開けた。

文=小沼克年

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