2022.05.10
「今日見てくださったら分かると思うんですけど、僕たちは今シーズンこういうチームなので、もっともっと精度を上げてチームを作っていけたらと思います」
新チームのお披露目となった9月11日に行われた群馬とのプレシーズンゲーム。MVPに選出された新加入の須田侑太郎はヒーローインタビューでそう語った。
昨シーズンの名古屋Dはリーグ屈指のスピードスター・齋藤拓実や、日本を代表するシューターの狩野祐介ら攻撃力重視の積極補強を敢行。トランジションバスケットに磨きをかけ、32勝24敗(57.1パーセント)と過去最高の勝率を収めた。しかし西地区4位に終わり、CS出場には届かなかった。今シーズンはさらなる飛躍を期し、4シーズン指揮を執った梶山信吾HCが退任。選手育成に定評があり、2019-20シーズンの滋賀レイクスターズをクラブ史上初の天皇杯3位へ導いたショーン・デニス氏に改革を託した。
指揮官は変わったが、目指すスタイルは昨シーズンまでと大きく変わってはいない。これまでも武器としてきた「スピード」と「3ポイントシュート」を、的確な選手補強と戦術の上積みによってより一層研ぎ澄ませたという印象だ。
「最初からうちのやりたいバスケットに合う選手を取りにいった」とデニスHCが話したとおり、昨シーズン3ポイントシュート成功率44.0パーセントを記録した須田を獲得。外国籍・アジア枠選手も、シェーン・ウィティングトン(44.7パーセント)、スコット・イーサトン (41.7パーセント)、コティ・クラーク(45.9パーセント)、レイ・パークスジュニア(46.2パーセント)と全員が広いシュートレンジを持つ。昨シーズンの3ポイント成功率王・狩野祐介(47.5パーセント)を筆頭に、小林遥太(44.8パーセント)、張本天傑(44.5パーセント)、中務敏宏(42.1パーセント)の4人の既存選手と合わせ、3ポイント成功率が40パーセントを超える選手を9人もそろえる陣容となっている。
群馬戦では、その武器を惜しみなく披露。中東泰斗の3ポイントを皮切りに、須田、ウィティングトン、狩野、レイ・パークスジュニアと、第1クォーターから3ポイント攻勢を仕掛けて計36得点を積み上げた。アウトサイドシュートが高確率に決まったことで、齋藤、伊藤達哉のスピードに乗ったドライブも切れ味を増した。
108-88でハイスコアリングゲームを制したデニスHCは、「フロアを広げて、アップテンポなバスケットを見せられた」と満足げに語った。名将の下、「スピード」と「3ポイントシュート」という“矛“を鍛える名古屋Dは簡単には止められそうにない。
今シーズンの目標は個人としてもチームとしてもタイトルを獲得することだ。「昨年は3ポイントのタイトルを取りましたけど、デニスHCのバスケットでまたタイトルを取って、HCやスタッフに恩返しをしたい。CSにずっと行けていないので、今シーズンは必ず行けるようにがんばりたい」と強い覚悟で新シーズンに臨む。
文=山田智子
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