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たった一枠のインターハイ出場を懸けた福岡県予選では、1点差に敗れて夏の全国行きを逃した福岡第一高校。しかし、11月のウインターカップ県予選では、出場枠が2つだったため、ともに本大会出場は決めていたものの、決勝で再び福岡大学附属大濠高校と対戦し69‐60で勝利。6月のリベンジを果たした。
この試合では、佐藤涼成(3年)と轟琉維(2年)のガード陣が大暴れ。ドライブで果敢に切り込めば、3ポイントシュートやミドルシュートも次々と沈める活躍を見せた。また、ディフェンスでもガードコンビを起点に、ハードな動きからスティールを奪うなど、福大大濠の選手たちに仕事をさせず。攻防において福岡第一の健在ぶりをアピールした。
「準決勝まではウインターカップの出場権を取ることに一生懸命でした。準決勝を終えてから(3日後の決勝に向けて)考えた時に、ガード2人のところでいける、2人に点を取るようにと言いました」と井手口孝コーチは、優勝で終えた福岡県予選をこう振り返った。
しかし、快勝ともいえる戦いにも、冬に向けた強化に指揮官は、「全部」と語り、「ゲーム経験がない。ゲームの中でアジャストできることはいっぱいあると思うので、ゲームをいっぱいやらないといけないなと思いますね」と試合経験の少なさも口にした。
というのも、福岡第一は、新型コロナウイルス感染症の影響で、8月はほとんど練習ができていない。夏以降も走る、止まる、跳ぶといった動きばかりで、対人練習ができるようになったのは10月頃。試合も、練習試合を含めて一切行っておらず、福岡県予選は実に約3か月ぶりの実戦だった。それだけに、「どんな試合になるのか怖かったです。(決勝も)練習量が足りていないので、メンバーチェンジを多くしました」と井手口コーチ。だが、そのような状況でもつかんだ勝利に、ガード陣をはじめ、大事な場面ではセンターのカマレ ムレマ フランシス(3年)らもルーズボールに飛びついたことを井手口コーチは勝因に挙げた。また、「(福大大濠の)岩下(准平)君と佐藤との我慢比べ。3ポイントシュートは何本かやられたけど良く抑えたと思います」とチームリーダーの頑張りも称えた。
コロナ禍で、全国的にもこれまで練習を制限されたチームは多い。福岡第一もその苦境に立たされたが、苦しい時期をみんなで乗り越え、迎えた県予選では拮抗した場面にこそ、泥臭いプレーで流れを引き寄せた。
インターハイ3位の福大大濠を破って迎えるウインターカップ。夏のインターハイはその座を他の強豪校たちに譲ったものの、冬の主役は絶対に譲れない。
文=田島早苗