2025.09.04

NBA調査開始…クリッパーズ、レナードへ総額41億円の不正支払い疑惑

2019年7月、加入発表会見でバルマーオーナーからユニフォームを受け取るレナード [写真]=Getty Images
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 9月4日(現地時間3日)、元ESPN記者で現在はポッドキャスターとして活動するパブロ・トーレ氏が、自身の番組でロサンゼルス・クリッパーズに関する重大な疑惑を明らかにした。チーム外の企業を介した支払いによって、NBAのサラリーキャップ規定を迂回していた可能性があるという。

 報道によれば、クリッパーズオーナーのスティーブ・バルマー氏が支援していた「アスピレーション」が、カワイ・レナードの個人会社「KL2 Aspire LLC」に対し、2022年4月から4年間で年間700万ドル、総額2800万ドル(約41億円)の報酬を支払っていたとされる。本来はスポンサー契約とみられるが、レナード自身による広報活動や広告起用の記録は確認されず、いわゆる”ノーショー契約”(宣伝活動が伴わない契約)と見られている。
 
 今回の件が問題視されている理由は3点。第一に、NBAでは選手の報酬にサラリーキャップが設けられているが、スポンサー契約を装った実質的な裏払いは規則違反にあたる可能性があること。第二に、契約条項には「会社の要求を拒否しても報酬が支払われる」との文言が含まれていたとされ、PR活動を行わずとも金銭が支払われる異例の性質を持っていたこと。第三に、過去にもミネソタ・ティンバーウルヴズが1990年代後半にジョー・スミスとの密約でキャップ違反を犯し、罰金や複数年のドラフト指名権剥奪といった重罰を受けた前例があることだ。

 クリッパーズは報道を受けてすぐに声明を発表し、「バルマー氏やチームがサラリーキャップを回避するような行為を行った事実はなく、そのような主張は誤りである」と強調した。チームは「2022-23シーズン中にアスピレーション社との関係を終了し、同社の不正行為については事後に知った」と述べている。さらに「我々はNBAの規則を順守しており、リーグの調査にも全面的に協力する」と付け加え、疑惑を全面的に否定した。NBAはすでにこの報道を受け、調査を開始したと複数媒体が伝えている。

 今回の報道はクリッパーズにとってさらなるプレッシャーとなる。レナードは2019年に加入して以降、2021年に4年1億7630万ドル(約260億7440万円)の契約延長、2024年1月には3年1億5240万ドル(約225億5520万円)の契約延長を結ぶなど、チームにとって欠かせない存在である。レナードとアスピレーション社の契約は2022年4月1日に開始され、これはレナードがクリッパーズと4年1億7630万ドル(約260億7440万円)の契約延長をした約9カ月後のタイミングだった。もし今回の疑惑が事実と認定されれば、高額契約の正当性やチーム再建の将来にも影響を及ぼす可能性がある。

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