2025.12.03
世代交代の波で忘れられつつある未完の大器に、ブレイクの時が迫っているのかもしれない。
ザイオン・ウィリアムソンは、コートに立てば常に支配的な存在だ。しかし、相次ぐケガと球団の振るわない成績により「レブロン・ジェームズ以来の才能」という肩書きは薄れている。
だが、ニューオーリンズ・ペリカンズを率いるウィリー・グリーンHCの考えによれば、ザイオンの“最高な瞬間”はまだ到来していないという。『WDSU』の取材に応じたグリーンHCは、ザイオンとペリカンズは同じビジョンを共有しているといい、2019年のドラフト1位に対して今シーズン中に潜在能力を解き放つことを期待している。
「我々は全員、ザイオンに何ができるかというビジョンについて共通認識を持っています。我々はザイオンがコートに立ち、唯一無二の存在になる瞬間を垣間見てきました。今必要なのは、それをやり続けること、すなわち一貫性を持つことです。もし彼がそれを実現できれば、チームにとっても彼自身にとっても、可能性は無限大でしょう」
ザイオンはデビューから6シーズンが経過したが、出場試合数はわずか214試合に止まっている。しかし、記録した平均スタッツは24.7得点、6.6リバウンド、5.3アシスト、フィールドゴール成功率56.7パーセントと圧巻。コンディションがベストであれば、出場試合数はおろか、成績も現役トッププレーヤーに匹敵すると思われている。また、ペリカンズはザイオン加入後に2度のプレーオフ進出を果たしたが、ザイオンはケガの影響で1度もプレーオフの出場経験がなく、底力は未知のままだ。
リフレッシュしたロスターも、ザイオンには刺激的な材料になるだろう。今夏、ペリカンズのフロントはチームの支柱だったCJ・マッカラムと引き換えに、同じく開花の時を待つジョーダン・プールを獲得。グリーンHCはプールについて「キャリアの次の段階に進む準備は整った。彼はダイナミックなスコアラーであり、チャンピオン経験者だ」と語り、ゴールデンステイト・ウォリアーズとワシントン・ウィザーズで過ごした経験が実ると信じている様子だ。
デジャンテ・マレーの復帰、成長著しいトレイ・マーフィー3世の存在、守備職人ハーバート・ジョーンズとの契約延長など、その他にも明るいニュースは多く、クーパー・フラッグの背後で影をひそめているルーキーのジェレマイア・フィアーズは、世代で最も過小評価されている選手と言われるほどのポテンシャルを秘めている。また、フロントに目を映せば、バッドボーイズ時代のデトロイト・ピストンズで3度の優勝に貢献した名ガード、ジョー・デュマースが球団社長に就任し、勝者のメンタリティが備わった。
昨年王者のオクラホマシティ・サンダー、レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチの強力デュオを擁するロサンゼルス・レイカーズ、ニコラ・ヨキッチと共に再び頂を目指すデンバー・ナゲッツなど、ウェスタンカンファレンスは今シーズンも熾烈な順位争いが予想されており、グリーンHCも「毎晩が殴り合いだ」と覚悟を決めている。だが、ダークホースとして台頭するためのピースは揃っており、そこにザイオンの一貫性が担保されれば、ペリカンズはプレーオフでも侮れない存在と位置付けられるに違いない。
ザイオンがリーグのベストプレーヤーの地位を奪い取るか、このまま花開かずにキャリアを終えるのか。グリーンHCとペリカンズは前者に賭けている。まもなく開幕する新シーズン、ザイオンは一時代を築いたベテランたちと世代交代のフロントマンたちをかき分けて、一躍リーグの顔に名乗りを挙げるかもしれない。
文=Meiji
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