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NBAデビューの地・日本に再訪…“優勝請負人”オーリーが八村塁と日本の高校生についてを語る

インタビューにこたえたロバート・オーリー [写真]=兼子愼一郎
バスケットボールキング編集部

 3月30日と31日の2日間開催された「NBA Rising Stars Invitational JAPAN QUALIFIERS by SoftBank」のNBAゲストレジェンドとして、ロバート・オーリー(元ヒューストン・ロケッツほか)が来日した。

 オーリーは、ロケッツで2回、ロサンゼルス・レイカーズで3回、サンアントニオ・スパーズで2回と、キャリア通算3チームで計7回のNBAチャンピオンに輝いた“優勝請負人”だ。NBAのプレーオフやファイナルといった大舞台で多くのクラッチショットを沈め、その圧倒的な勝負強さから本名のロバートにちなんだ「ビッグショット・ロブ」の愛称で親しまれている。数々の強豪チームで重要な役割を担いながら、勝負どころで決定的な仕事を果たしてきた点も特筆すべきキャリアである。

 オーリーにとって日本は、1992年に横浜アリーナで開催された「NBAレギュラーシーズンオープニングゲーム」でNBAデビューを果たした特別な場所でもある。大会中、熱心に日本の高校生の試合を見ている姿が印象的だったオーリーに、男子決勝戦後、インタビューを実施した。

インタビュー=入江美紀雄

■「日本の文化を尊敬している」待望の来日

オーリーにとって日本はNBAデビューの土地 [写真]=Getty Images

ロケッツ、レイカーズ、スパーズで活躍したオーリー(右) [写真]=Getty Images

――オーリーさんにとって、日本はNBAデビューの場所でもあり、非常に特別な場所だと思います。今回の来日について、どのような心境か教えていただけますか?
オーリー 
素晴らしいですね。ずっと戻ってきたいと思っていました。初めて日本に来たときは若くて大学を出たばかりで、日本のことをあまり知りませんでした。でも今は日本の文化を理解し、尊敬するようになっています。日本の文化は世界でも最高の文化の一つですし、常に体験したいと思っていますよ。戻ってこられて楽しいですし、次は何も仕事がないときに来て、じっくりとその良さを味わいたいですね。

――7回のNBA優勝という輝かしいキャリアをお持ちですが、現在はどのような活動をされていますか?
オーリー 
引退後はレイカーズのテレビ番組の仕事を始めました。また、カンファレンスの大学ラジオの仕事もしています。人生を楽しんでいますよ。バスケットボールをプレーしている間は何年も、どこにいろ、何をしろ、何を言えと指示されますからね。引退したらほかの道を探すものなんですよ。今私が熱心に取り組んでいるのは、SureCo(シュアコ)という会社です。企業に入って従業員の保険プランを分析し、従業員にとっても会社にとってもよりよく、コストを抑えられるようにカスタマイズする事業を行っています。本当にいろいろなことに挑戦していますよ。

■日本の高校生、レイカーズの後輩・八村塁の印象

――昨日から日本の高校生の試合を熱心に観戦されていましたが、感想を教えてください。
オーリー 
スキルセットはとてもびっくりしました。ハンドリングやシュートの仕方が本当に素晴らしいですね。高校生であれだけのスキルを持ち、あのスピードでプレーするとは驚きです。ただ、いくつか気づいた点もあります。例えばビッグマンは、小柄な選手ほどのスキルがありませんでした。ビッグマンとしてのスキルをあまり練習していないのがわかります。そこは改善すべき点ですね。大きな選手がいるなら、彼らを生かさないといけません。それでも、シュート、パス、ドリブル、そしてピック&ロールの理解度については感銘を受けました。さらに重要なのはディフェンスですが、彼らは非常に優れたディフェンスをしていましたよ。

――現在のNBAで、オーリーさんが所属していたレイカーズには八村塁選手がいます。ポジションが重なる部分もありますが、彼のプレーをどう見ていますか?
オーリー 
彼は自分の役割を理解したのだと思います。先発からベンチスタートになるのは精神的に難しいこともありますが、彼はそれを克服したようですね。「自分はコートに入って、A、B、C、Dをやるだけだ。それ以上は望まない」と考えているのでしょう。プレーをシンプルにすると、より能力を発揮できることがあります。彼はプレーを簡略化したことで、先発のときよりもずっとうまくやっていると思いますよ。それに、先発しないほうが体への負担が少ないということも理解していますね。

――彼がオーリーさんのように「ビッグショット(決定的なシュート)」を決められるようになるには、何が必要でしょうか?
オーリー 
彼はすでにクラッチショットを決めていますよ。レブロン・ジェームズが18年以上にわたって積み重ねてきた連続2ケタ得点記録(1297試合)を犠牲にしてまでコーナーの塁にパスを出した場面がありましたよね(2025年12月5日、対トロント・ラプターズ戦)。塁はあのシュートをしっかり決めました。彼にはそのDNAがあると思います。

――八村選手はあなたの後継者と言えますね。
オーリー 
あとはチームメートの信頼次第ですね。マイケル・ジョーダンがスティーブ・カー(ともにシカゴ・ブルズほか)にアシストを送り、コービー・ブライアント(元レイカーズ)が私にパスを出したように、チームメートとの信頼関係を築くことです。塁はそれができる選手の1人です。ワイドオープンであれば、10回中9回は決めてくれますよ。

八村にはビッグショットを決めるDNAを持っているとオーリー [写真]=Getty Images

――プレッシャーのかかる場面でシュートを打ち切るメンタリティは、どのように培ったのですか?
オーリー 
私のメンタリティは、自分を信じること、そして「自分はこれを何度もやってきたのだから、考える必要はない」と理解することでした。多くの選手はプレー中に考えすぎてしまいますからね。私はすべてが自然に感じられたので、ただプレーしました。いつもたとえに出すのですが、朝トイレに行くのと同じですよ。「左足、右足、左足、右足」なんて考えませんよね。何度もやってきたことだから、ただ自然に体が動くのです。

■「自分次第だ」未来のNBA選手へのメッセージ

――この大会を勝ち抜くと、シンガポールで開催される「NBA Rising Stars Invitational」に出場できます。大会には日本以外にオーストラリア、中国、韓国など、アジア・オセアニアの高校チームが参加しますが、世界各国の高校生が交流することの重要性をどうお考えですか?
オーリー 
なかなか難しい挑戦だと思います。というのも、NBAや大学ではスカウティングレポート(対戦相手の分析)があり、相手のことを知っていますが、今回は未知の状態で行くわけですからね。本当にチームメートを信頼し、コーチのプランに従うしかありません。ただ、だからこそ、選手だけでなく、チームが成長できるチャンスだと言えます。世界中からチームが集まる大会というのは非常におもしろいですよ。まるでジュニア・オリンピックのようですね。優勝を目指して競い合い、何より素晴らしいスポーツマンシップを見せてくれます。スポーツマンシップや、チームや選手を応援することは、世界を一つにできるスポーツの大きな魅力だと思います。

――最後に、日本のファンとNBAを目指す子どもたちにメッセージをお願いします。
オーリー 
ファンには感謝を伝えたいですね。皆さんの国や地域にバスケットボールを持ち込む機会をいただき、本当にありがとうございます。スポーツは家族や友人を結びつけてくれる素晴らしいものです。そして若者たちへのメッセージは、それぞれ2文字の単語が10個並んだこの言葉です。”If it is to be, it is up to me”(それが成るかどうかは、自分次第だ)。ただ座って誰かがやってくれるのを待っていてはダメですよ。なりたい自分になるために一歩を踏み出し、目指すレベルに到達するために必要な犠牲を、しっかり理解しないといけません。期待しています。

日本の子どもたちに「ビッグショット」を伝授 [写真]=NBA Rising Stars Invitational JAPAN QUALIFIERS Presented by SoftBank

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